→紀伊國屋書店で購入 「『噂の真相』沖縄特別篇、のようなもの」 学生のころ、小説や詩などにくらべて、ノンフィクションは程度の低いものだと思っていた。「事実」などにかかずらっているノンフィクションは、絵空事こそ真実であると信じている文学青年にとっては読むに値しない週刊誌的な書き物と思われたのである。東大仏文出身の立花隆だって学生時代は小説ばかりを読んでノンフィクションなどはバカにしていたそうだから、こういう志向は文学青年のつもりでいる人間の、一般的な傾向であるのかものかもしれない。 立花は週刊誌記者となってそうした考えを改めたと書いていたが、筆者の場合、ノンフィクションへの偏見がぐっと下がったきっかけになった本がある。篠田一士『ノンフィクションの言語』(1985年)である。杉浦民平、高杉一郎、上野英信、森崎和江、鎌田慧、沢木耕太郎といった作家たちの魅力を教えてくれたのはこの本だ。篠田一士は来