これは『巨大数入門』(フィッシュ著、2017年)の HTML 版です。 Kindle 版、iBooks 版、楽天 Kobo 版 も出版されています。 目次 はじめに 私たちが日常生活で使う大きな数は、たとえば世界の人口が75億人であるとか、日本のGDPが500兆円以上であるといったように、100兆=10の14乗程度までです。その上の単位である京(けい)を知っていても、さらにその上の垓(がい)といった単位を使うことはめったにありません。日本語の数の単位は、一、十、百、千、万、億、兆、京、垓、𥝱(じょ)、穣(じょう)、溝(こう)、澗(かん)…と10の68乗の無量大数まで続きます。 科学の世界では、たとえば1モルに含まれる要素粒子の数を表すアボガドロ数という数は、約6023垓になります。物理的に意味のある非常に大きな定数としては、エディントン数という数があります。これは全宇宙にこの数の陽子があ