東日本大震災後に注目された「危険地名」や「災害地名」には、本当に歴史的根拠があるのだろうか? 地図研究家の今尾恵介氏が“地名”の成立と変貌を追った『地名崩壊』(角川新書)より、第4章「土地の安全性が地名でわかるのか」の一部を抜粋してお送りします。 ◆◆◆ 平成23(2011)年3月11日に起きた東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)は、マグニチュード9という国内の観測史上最大の地震であった。津波の規模も過去にほとんど例のないもので、869年(平安時代)に発生して大きな津波被害を伴った貞観地震以来とされる。 東日本大震災では地震そのものによる建物の倒壊率はさほど大きくなかったが、非常に強力で高い津波の与えた被害が空前の規模にのぼったこと、これに加えて軟弱地盤での液状化が広範囲で発生したことにより、地盤に対する世間の注目度はにわかに高まった。
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