ついに160円台を突破した歴史的な円安の影響もあり、物価高騰が深刻化している。日々の暮らしへの負担は重くなる一方だが、日本と同様に物価高騰に直面しているのが、同じアジアのシンガポールだ。同国のインフレ率は日本よりも高く、家賃は米国の約1.6倍、食料価格は日本の約2倍と物価の高騰が目立つ。しかし、同じ物価高騰に直面していても、シンガポールと日本ではある「決定的な違い」が存在している。それは一体何か。同国の経済情勢を日本と比較しつつ解説する。
クーリエ・ジャポンのプレミアム会員になると、「ウォール・ストリート・ジャーナル」のサイトの記事(日・英・中 3言語)もご覧いただけます。詳しくはこちら。 アジアで強力な経済力を誇る国々が、世界で実証済みの経済成長のエンジンの一つを手に入れようと競い合っている。米国のポップスター、テイラー・スウィフトさんのことだ。公演先に選ばれた数少ない幸運な国はひともうけしているが、選ばれなかった国はスウィフトさんの曲のようには「吹っ切る(Shake It Off)」ことができずにいる。 スウィフトさんはアジアでの公演を日本とシンガポールの2ヵ国のみで開催する。熱心なファンは必要な距離の移動はいとわないだろうと彼女はみているのだろう。そう考えるのももっともだ。
日本のバブル時代に栄えたスキーリゾート地を再開発し、そこに海外からの富裕層を呼び込もうと画策する未公開株式投資会社の社長に、米経済メディア「ブルームバーグ」が取材する。 東京から北西に約240キロ離れた、日本海へと至る白銀の谷に、妙高高原と呼ばれるひっそりとしたスキーリゾート地がある。1980年代のバブル時代には、若いスキー客が押し寄せ、街の通りもネオンがきらめいて活気があったこの地域は、いま寂れている。 だが、シンガポール政府系投資ファンド「GIC」の日本支社代表を務めたケン・チャン(56)はこの先数年で、約14億ドル(2080億円)を投じて、妙高をアスペン(米国)やウィスラー(カナダ)、サンモリッツ(スイス)と張り合える豪華なスキーの楽園に変えようと目論んでいる。 チャンの投資会社はこの2年間、周辺の土地を円安のおかげで安く買い進めてきた。2026年までに、国際展開している高級ホテルや
<不公正な選挙を経てフン・センから息子マネットへの権力世襲が行われたカンボジアだが、国民は圧政で貧困にあえいでいるわけではない> カンボジアで総選挙が行われ、与党が圧勝。フン・セン首相は辞任を表明し、息子のフン・マネット氏(写真)に首相の座を譲ることになった。今回も野党を徹底的に弾圧して実施された不公正な選挙であり、北朝鮮さながらの権力世襲化が行われた。ではカンボジア国民が独裁者による圧政で貧困にあえいでいるのかというと、そうではない。 長く続いた内戦の影響で、東南アジアのなかでは貧しい部類に入るものの、同国の成長率は極めて高く、過去20年間の平均GDP成長率(実質)は6.7%もある。特に近年はIT化が進み、国内経済は目覚ましい発展ぶりだ。 フン・セン氏は、内政面では独裁的な統治を行う一方、ビジネスに親和的で経済は活発である。欧米各国からは独裁政権と批判されているものの、中国の力を借りるこ
東京は主要な金融センターとしての地位を再び確立するために何年も苦しんできたが、東京を取り巻く環境の「初期設定」が変わり、消去法で東京が残っていることが救いになるかもしれない。 かつて金融界の中心地であった東京は先月、ある銀行業センター番付で、アジアのライバルであるソウルや北京、深圳に後れを取り、トップ20から陥落した。東京市場が30年前に絶頂期を迎えていたころ、金融界の地図に辛うじて記されていた深圳は現在9位だ。 外国人トレーダーを呼び込むためのさまざまな試みは、東京都の小池百合子知事らでは解決が難しい現実に直面している。香港やシンガポールに比べて高い税率や、日常生活や行政で用いられる言語が英語ではなく日本語だということ、それに煩雑で迷路のようなお役所仕事は東京に不利に働く。 ただ、東京が魅力的な都市になりつつあることを示す兆しもある。資産家ケン・グリフィン氏のヘッジファンド、シタデルは世
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シンガポールでは新型コロナウイルスの感染拡大で、生活に必要不可欠な業種を除く外出制限が行われていますが、政府は外国人労働者の感染者数は増えているものの、シンガポール人などは減少しているとして、今月12日から一部の経済活動を再開すると発表しました。 こうした中、シンガポール政府は、これまで制限していた経済活動を部分的に再開すると発表しました。 その理由として、感染者の多くは集団生活を送る外国人労働者でシンガポール人などの感染者数は減っていると説明しています。 再開されるのは、すべての製造業やケーキなどの菓子類を扱う一部の小売業、それに理髪店などで、今月12日から営業を認めるということです。 また、学校も、今月19日から一部が再開される予定で、小中高それぞれの学校の最終学年に限って登校が認められるということで、そのほかの児童や生徒は、引き続き、インターネットを通じたオンライン授業を受けるという
・わずか一週間で2万5千便のキャンセル、440万席の減少 新型肺炎(コロナウィルス)による患者の急増によって、多くの航空会社が中国便の運航をキャンセルしている。デジタルフライト情報プロバイダの世界大手であるOAG Aviation Worldwide Ltdによれば、今週一週間で30社を超す航空会社が中国発着の便をキャンセルしており、二週間前と比較すると2万5千便を超す便、客席数では約440万席が減少している。 香港を拠点とするキャセイパシフィック航空は、中国本土への航空便の50%以上をキャンセルすると発表しており、アメリカ系の航空会社をはじめ英国航空、スイス航空、ルフトハンザ航空、オーストリア航空などヨーロッパの航空会社も、当分の間、定期便をキャンセルすると発表している。日本発も全日空と日本航空も、2月に入り、中国便の減便や機材の小型化を発表している。 ・航空貨物輸送に大きな問題 こうし
【ロンドン=篠崎健太】英家電大手ダイソンは22日、本社を英国からシンガポールに近く移すと表明した。すでに生産や研究開発施設を構えており、開発中の電気自動車(EV)もシンガポールで造ると発表していた。経営機能も移すことで意思決定を速くする狙いだ。利益の過半を稼ぎ出し、生産地としても有望視してきたアジアに名実ともに拠点を移す。2018年12月期決算の発表に併せて明らかにした。ジム・ローウェン最高経
極めて異例のシナリオだが、潮田氏はどうやら本気だ。業界トップの大企業が東京証券取引所での上場を廃止し、本社をシンガポールに移転するという過去に例がない大転換を進めようとしている。潮田氏はシンガポール取引所(SGX)への新規上場も目論んでいる。 関係者によると、LIXILグループは昨年、MBO・本社移転・シンガポール上場という一連の計画を検討することを取締役の間で情報共有、すでに検討のためのアドバイザーも雇った。つまり、この計画は潮田氏が独断で進めている話とはもはや言えない。一連の計画に反対していた瀬戸氏をCEOから降ろしたことからも、潮田氏の本気度がうかがえよう。瀬戸氏を退任させるのは、この驚きの計画を前に進める布石だった。 なぜ日本の株式市場から退出したいのだろうか。根底には市場から評価されていないという不満があるだろう。株価は冴えない。トステムやINAXなど多くの企業の統合で日本最大の
米グーグルの日本法人がシンガポール法人との取引を巡り、東京国税局から2015年12月期に約35億円の申告漏れを指摘されていたことが関係者の話でわかった。日本法人は事実上、日本で広告事業を担いながら、広告料などは税率の低いシンガポールの法人に支払われ、日本法人はそこから経費に8%が上乗せされた金額を報酬として受け取っていた。同国税局は、日本法人の利益が低く抑えられ、実質的にシンガポールに移されていたと判断した。 申告漏れを指摘されたのは、グーグルの日本法人「グーグル合同会社」(東京都港区)。追徴税額は、過少申告加算税などを含め約10億円とみられる。同社は修正申告に応じ、16年12月期分についても、国税側の指摘に沿って自主的に法人所得約60億円を上乗せして申告したという。
シンガポール在住のファイナンシャルプランナーの花輪陽子です。最近、日本の銀行の苦戦ぶりがよく報道されますが、そもそも「日本の銀行」と「海外の銀行」で、使い勝手に違いはあるのでしょうか。あるとすれば何が違うのでしょうか。日本とシンガポールを行ったり来たりしている私ですが今回はあくまで消費者目線から、その辺りのお話をしていきます。 高いATM手数料で稼ぐ日本の銀行に顧客は不満のはず まず、ほとんどの日本人は日本の銀行を使っているわけですが、多くの人はいくつかの銀行に複数の口座を持っているのではないでしょうか。しかも、その中には、何年もまったく使われていない口座がきっとあると思います。たとえば、家を引っ越す前に使っていた口座や学生時代にアルバイトで作らされた口座などです。 一方、日本の銀行の特徴の1つで挙げられるのは、時間外などと称してATM(現金自動預け払い機)手数料を頻繁に取ることです。たと
7月4日、シンガポールが金融テクノロジー「フィンテック」のアジア拠点を目指して国家による資金拠出や規制緩和などの対策を進め、競争相手の香港をリードしている。写真はシンガポールのビジネス中心街。6月撮影(2016年 ロイター/Edgar Su) シンガポールが金融テクノロジー「フィンテック」のアジア拠点を目指して国家による資金拠出や規制緩和などの対策を進め、競争相手の香港をリードしている。 シンガポールは従来からオフショアのプライベートバンキング(富裕層向け金融サービス)拠点だが、隣国マレーシアの大規模なマネーロンダリング(資金洗浄)事件などを受け、その地位が脅かされている。 伝統的な主要産業である海運や製造業も、世界的な景気減速や資源安で足腰が弱っている。 ブレグジットが追い風 そうした中、ロンドンに拠点を置くフィンテック企業約6万社がシンガポールに関心を寄せており、英国が国民投票で欧州連
富裕層の資産フライトに待った−。国外に居住地を移す富裕層に対し、株式などの含み益に課税する「出国税」が1日、導入される。対象は1億円以上の金融資産を持つ富裕層で、ほとんどの人には無縁。だが、アベノミクス効果による金融市場の活況で利益を手にし、海外移住を考えるお金持ちの心境には変化が生じるかもしれない。 出国税は国内に5年以上居住していた人が海外に移住する場合、株式や投資信託などの有価証券、デリバティブ取引といった金融資産に対し、転出時に資産の含み益に特例的に課税する制度だ。すでに欧米などで導入されている。国内で実際に株などを売買して得た差益(キャピタルゲイン)には20%の所得税が課税される。 一方、出国税は株を保有したまま国外に転出する際に、実際に株を売却していなくても、売却したものとみなしてキャピタルゲインに国税分の15%の課税を納めなければならなくなる。 導入する背景には租税条約
与沢翼氏のように、近年、日本を脱出して海外へ移住する日本人富裕層が増えている。なぜか? シンガポール在住の税理士、ヘンリー石田氏はこう説明する。 「日本と比べて圧倒的に税率が低いことが挙げられます。例えば課税所得1億円の場合、日本だと5105万円の税金がかかりますが、シンガポールだと1810万円で済みます。法人税を見ても、日本の法定実効税率が35.64%に対し、シンガポールは一律17%。しかも、法人を設立して3年間は税額控除による軽減措置もあります」 税制面だけではなく、ビジネス環境が整っている点も挙げられる。 「シンガポールは’14 年から成長率が鈍化しており、技術革新や社員育成に取り組む企業に対し補助金を出しています。これが、起業を後押ししています。合理主義なシンガポールなら、自由な発想で自由にビジネスができ、公平に審判される。その意味で、頑張る若い経営者にはよい環境といえるでしょう」
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