大阪モノレール公園東口駅に展示されている「航海(Voyage)」。木の部分にはひび割れや剥離などの傷みが目立つ=大阪府吹田市で2023年8月、山田夢留撮影 「アート作品は人の目に触れてこそ価値がある」。大阪府が所蔵する美術作品105点が地下駐車場に6年間も置かれていた問題が明らかになった直後、吉村洋文知事はこう述べた。劣化や盗難のおそれがあった保管状況の発覚を受け、もっともな発言のようだが、既に鑑賞できる状態にある作品が悲惨な扱いをされていると知ったら、賛成できるだろうか。 地下駐車場にあった105点とは別に、府が「活用」してきたはずの立体作品の一部が、過酷な環境に置かれている。美術館で展示する前提で収集したものなのに駅や屋外で展示され、記者が現地で確認すると、ひび割れや剥離、サビなどで劣化が進んでいた。人為的に汚されたケースさえあったという。専門家からは「あまりにひどい」と酷評する声も上