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ブックマーク / tanakahidetomi.hatenablog.com (25)

  • 岩田規久男前日本銀行副総裁の真意を日本経済新聞の記事はより正確に伝えた方がいい - Economics Lovers Live 田中秀臣のブログ

    経済新聞の岩田規久男前日銀行副総裁の記事が話題だ。 https://www.nikkei.com/article/DGKKZO28642670X20C18A3EE8000/ 日経済新聞のネットの見出しでは、「緩和推進「単純すぎた」 岩田・前日銀副総裁 物価2%目標実現できず」とあり、見出しだけの印象だと岩田先生がリフレ政策について反省をしているような印象さえもたらす。 実際に見出ししか読まない、いわゆる「ヘッドライン寄生」(by古谷経衡)の読者にはそういう反応もある。だが、記事を読めばそのようなリフレ政策が効果がなく、リフレ政策の失敗を反省する内容ではない。むしろリフレ政策の改善の余地について説明しているものだ。 またこの日経済新聞のインタビューは題名だけでなく内容も読んでみると、岩田先生の従来からの主張と重要な点が抜けている印象をうける。 YCC(イールドカーブコントロール)は

    岩田規久男前日本銀行副総裁の真意を日本経済新聞の記事はより正確に伝えた方がいい - Economics Lovers Live 田中秀臣のブログ
  • 「アベノミクス(のリフレ政策=金融緩和)で増えたのは医療・福祉系だけだ」という嘘

    2012年12月からのアベノミクス、特にリフレ政策という日銀行の金融緩和の継続が就業者数の増加をもたらして雇用状況を改善しているのは端的な事実である。例えば以下の図は高橋洋一さんのツイートから拝借してきたものだが、安倍政権以前の状況、特に民主党政権のときとは大違いであることが明瞭である。 ところがネットの一部では、「就業者数が増えても福祉・医療だけだ」という批判にもなっていない嘘が流布している。どこまでリフレ政策の目に見える改善を否定したい人たちがいる。嘘やでたらめで真実を否定できはしないのに。 直近のデータをもとに、2012年10月から2017年10月までの産業別就業者数の増減を以下に書く。 ソースはここ。http://www.stat.go.jp/data/roudou/longtime/zuhyou/lt01-c30.xls 訂正:同月比で修正した。嘘つきに合わせてたのだがそれだと

    「アベノミクス(のリフレ政策=金融緩和)で増えたのは医療・福祉系だけだ」という嘘
  • 民主党「リフレ研究会」の記事 - Economics Lovers Live 田中秀臣のブログ

    さてケネーの続きでも書いたり、今日から始まる講義の再チェック……と思ってブログを開けたら、山形さんのHPが更新されてたのでそれを読んで驚いた。 http://cruel.org/other/rumors2009_2.html#item2009092801 たとえば今日、あのダジャレしか能のない AERA を立ち読みしていたところ、なんでもあの民主党の中に金融畑の連中がたくさんいて、そいつらが「リフレ研究会」なるものを作って、そこが日銀のクビを締め上げて 2% のインフレを目指させるという政策をうちだして、それを菅直人に説明して云々と書いてあったように読めてしまったんだが、あのバカであほで経済のイロハもわかっておらず、為替介入しないと宣言すること自体が為替に対する政治的な影響であることも知らず、モラトリアムとかバカなことを言い出し、予算執行を平気で止め、できもしないくせに二酸化炭素四割減なん

    民主党「リフレ研究会」の記事 - Economics Lovers Live 田中秀臣のブログ
  • 速水健朗『1995年』

    「日人は歴史に学ぶことが苦手である。そして何事も忘れやすい」と速水さんが書くように、書は「時代の転機」としての1995年という見方をとりあえずカッコにいれて、現在のすぐ隣人ともいえる過ぎ去ったある一年をともかく著者なりに振り返ってみよう、という視座で書かれている。 著者自身の体験はほとんど出てこない(あとがきなどに散在するだけだ)。書は1995年の代表的な事件ーそれは国内では二大事件(阪神淡路大震災とオウム事件)などの社会・政治・経済そして文化などを、適確にまとめ流れるように読ませる。分析的な視点は脇に置かれているような印象であり、おそらく選ばれた題材そのもので、今日の我々の生活と比較できるように配慮されている。 経済関係でいえば、自由化を背景にした焼酎の思いがけない売上増、自動車の日用品化(ドリカムの歌詞とユーミンとの対照)、アイドルのいないヒットチャートとオザケンなど、著者らしい

  • 財務省の罠にはまってる日本経済(消費増税のインパクトなど財政緊縮を考える)

    21日の参議院選挙で自民・公明の与党は大勝した。これで焦点は、憲法改正問題やTPP、そして消費税増税問題など政策そのものに移るだろう。私見では、これらの問題を起点にして、自民党内での安倍下しの可能性がきわめて高いと思う。それは経済政策だけみれば、きわめて憂慮すべきことだと思う。 以下のロイター通信の記事が紹介するテレビ朝日の番組をみていないので、ロイターのまとめが正しいのかよくわからないが(ロイター通信のマクロ経済関係は眉に何度もつばしてみるようにしている。時事通信やブルームバーグのマクロ経済関連も同様だ)、安倍首相が秋に消費税増税をどうするか慎重に判断するとしているらしい。 http://www.reuters.com/article/2013/07/21/us-japan-election-abe-tax-idUSBRE96K05U20130721?feedType=RSS&feedN

    財務省の罠にはまってる日本経済(消費増税のインパクトなど財政緊縮を考える)
  • 飯田泰之「「リフレは不自然」論の裏にあるもの」in『Voice』2013年6月号

    おそらく多くのリフレ派は、この10数年、いくたびか丸山真男の書いた『日の思想』などの一連の著作を読み、丸山の指摘に同意したに違いない。例えば丸山の福澤諭吉の読解を参照にした岩田規久男日銀副総裁のこの著作はそのようなリフレ派の読解の集大成といえるものかもしれない。 この飯田さんのエッセイもまた丸山真男の分析をもとに、現在の黒田ー岩田日銀によるリフレ政策への「不自然」であるという批判を解明したものだ。 日の政策形成には、明確な目的とその実施への責任(コミットメント)があいまいであり、それをあいまいにする風土が濃厚である。丸山はこれを「作為の契機」(人が目標を明示し、その達成を意図してはっきりと行動する)というキーワードで解明した。いまの安倍首相&日銀、そしてそれを支持する言論人(飯田さんや僕も含む)は、作為の契機は明確である。対して、日の政策形成やまたそれを論評するメディアの論調は、作為

    飯田泰之「「リフレは不自然」論の裏にあるもの」in『Voice』2013年6月号
    laislanopira
    laislanopira 2013/05/08
    明確な目標と達成の責任をあいまいにするという日本の風土
  • 荻上チキ『僕らはいつまで「ダメ出し社会」を続けるのか』

    これから日で生活する人たち一人一人がどのように社会を考え、どのように一人一人が社会を変えていくか、そのような小さな希望(期待)を支えにする、大きな見取り図のである。 いまは社会や公共に参加したり、社会問題を考えるといってもそれはひとりの人間の全存在を賭けたものとはなりえない。私たちは細切れの消費(参加)の世界に生きていて、その無数の細切れの消費対象(参加対象)の中から、いくつか自分の好みや関心や、かっては「社会参加への情熱」といわれたものを裏打ちして、消費(社会参加)の組み合わせを選んでいる。好みや関心が細切れになってきたのと同時に、時間や予算の制約ももちろん考慮されている。これは一種のポートフォリオ選択の発想に近い。 ちょっと長々と自説を書いてしまったが、荻上さんのこのは、そのような細切れ消費の社会で、社会をどのように変えることにコミットするか、その考え方の大きな見取り図を与えてく

    荻上チキ『僕らはいつまで「ダメ出し社会」を続けるのか』
  • 経済学を楽しく学ぶには? 正月休み用読書&動画リスト

    お正月休み用のブックガイドと動画をご紹介 経済学を専門にやっている学生でもなければ、順を追ってミクロ経済学、マクロ経済学、計量経済学をそれぞれ学ぶよりも僕は経済思想史を勧めたいです。なぜならたとえ経済学が身につかなくても(笑)、歴史、思想、政治、法律、文学、芸術、人間の伝記的知識、語学に数学など、教養を幅広く得ることができるからです。もちろん歴史的に物事をみれると、批判的精神もつきますよ。 以下では経済思想史だけではないんですが、最近出たもので、いま学生などにすすめているを中心に以下にご紹介。 1 猪木武徳『経済学に何ができるか - 文明社会の制度的枠組み』 まず経済学を幅広い思想と歴史的文脈の中で再検討したこの新書は読みやすく問題意識を身に着けるのでいいと思います。僕もいままさに読んでますが、猪木先生の著作はすべて読んでほしいものばかりですね。 経済学に何ができるか - 文明社会の制度

    経済学を楽しく学ぶには? 正月休み用読書&動画リスト
  • クルーグマン「日本に必要なのは…『物価上昇を伴う経済成長』だ。」スティグリッツ「日本の経済を刺激する方法はいくつもある。円高を食い止め、製造業の輸出競争力を向上させること

    ここ数日、僕の知人もインタビュークルーで参加した、NHKのBizに出演したクルーグマンとスティグリッツのインタビューの文字起こしが以下で読める。必読である。 世界が注目する“日の教訓” http://www.nhk.or.jp/bizplus/history/2012/08/detail20120813.html#contents1 世界経済の課題 “格差の是正” http://www.nhk.or.jp/bizplus/history/2012/08/detail20120814.html まずしばしば日の日銀行よりのメディアや評論家たちに悪用されるクルーグマンの「お詫び」発言の真意が明確に出ている。クルーグマンは天皇陛下におわびをすることが真意であった。他方で、歴代の日銀総裁にもお詫びするが、それは天皇陛下へのお詫びとはまったく異なる意味でである。 プリンストン大学 ポール・クル

    クルーグマン「日本に必要なのは…『物価上昇を伴う経済成長』だ。」スティグリッツ「日本の経済を刺激する方法はいくつもある。円高を食い止め、製造業の輸出競争力を向上させること
  • 竹中平蔵氏の国土強靭化についての見解

    きわめてまっとうな主張だと思う。 竹中平蔵のポリシー・スクール 8月16日 “国土強靭化政策”をどう受け止める?http://www.jcer.or.jp/column/takenaka/index392.html 改めて公共投資のあり方を根的に問う理由として、投資額削減の中で今後の更新投資が十分行われうるか、懸念が出てきたことがあげられる。日はすでに大きな公的資ストックを有しており、それを維持するためだけでも今後多額の投資が必要になる。国土交通省によると、2029年の時点で建設後50年以上経過する社会資の割合は道路・橋で51%、港湾岸壁で48%になるという。従来通りの維持管理・更新をする場合、2037年には必要な更新投資額が投資総額を上回る計算になるという。その意味で、長期的な公共投資戦略が求められている次期を迎えている。残念ながら現状の国土強靭化政策には、上記のような意味での厳

    竹中平蔵氏の国土強靭化についての見解
  • 現在の本当の「消費税率」は20%超ではないのか?

    消費税増税論議がこれからまたヒートしていくだろう。さて今日は講義の前の準備で、久しぶりに岡田靖さんと飯田泰之さんとの対談を再読した。芹沢一也&荻上チキさんたちの編集になる『経済成長って何で必要なんだろう?』(光文社)に収録されているおふたりの対談である。 この対談は、日経済の大きさを測る尺度としてのGDPの簡単な解説からはじまり、その変化率(つまりは経済成長率)、経済成長が現在および過去の日経済に持つ意味が実に面白く語られている。 そのなかで先進国はだいたい毎年、2%〜2.5%ぐらい実質GDPが成長するのは当たり前という発言がある。僕もそう思う。この背景には、だいたい毎年自然と学習効果などが作用して、それくらいの成長トレンドがあるということである。 岡田:GDPの増え方を見ると、先進国では、長期的に年2%から2.5%ぐらい、一人当たり生産額は増え続けています。どうも、人間の知識の蓄積し

    現在の本当の「消費税率」は20%超ではないのか?
  • ■[話題]川井徳子『不動産は「物語力」で再生する』

    川井徳子さんとは10年来の知人であり、以前からその歴史的な感性と素養に裏打ちされた現代の日をみる視点には、はっとさせられることが多々ありました。今回、川井さんの初めての著作である書を一読して、いままで川井さんとの対話で得てきたものがほんの氷山の一角であることを知りました。書は、難しい「不良債権」物件を見事に甦らせる若き女性経営者の逸話という形を一応は借りています。例えば、荒廃した名庭園―何有荘を復活させ、それをクリスティーズを通して世界市場で売却し、日でも過去にない市場を開拓した手腕、あるいは不良債権を競売で得て、いまや『ミシュランガイド 京都・大阪・神戸・奈良2012』で二つ星のホテルとして掲載されるまでの素晴らしいホテルとして再生したその手腕、そういった経営物語としても、このは読むことは可能です。しかし書には、表題にあるように「物語力」、それは川井さんの言葉を借りれば、人間

    ■[話題]川井徳子『不動産は「物語力」で再生する』
  • 『震災復興 後藤新平の120日』

    後藤新平が関東大震災のときにいかに考え、いかに行動したか。当時の後藤新平についての記録を整理し、大震災翌日の内務大臣任命からの120日に焦点をあててた編集(後藤新平研究会)のセンスが光る好著である。この120日は虎の門事件による山内閣の瓦解によって区切られるのだが、同時に僕の調査したかぎりでもまさに後藤の退場と同時に当時のマスメディアの多くは震災への関心を失った(記事が急減する)。日人は忘れやすい国民だ。だが後藤新平は高橋是清とともに何度も現代の日で語られ続けてもいる。この忘却と想起のバランスがどのような教訓をわれわれに与えるだろうか? さて後藤は大臣任命直後にすでに予算規模30億円の巨額で、「欧米最新の都市計画」を採用すべし、と復興政策を独力で案出している。しかも9月4日にはさらにその案は具体性をもつ。今日でも意義があるので下に後藤が9月6日に閣議に提出した「帝都復興の議」の要点を

    『震災復興 後藤新平の120日』
  • アマルティア・セン『アイデンティティと暴力』

    例えば僕の研究している領域でもマルクス主義+熱心なキリスト教徒という経済学者がいる。これは人間のアイデンティティを単一のものとしてしかみなさい人たちからみると矛盾しているか、なんらかのごまかしているようにしか思えないだろう。でも、人間のアイデンティティの複数性があたりまえだと思えばこの「矛盾」とか「ごまかし」とかいう見方はあてはまらないだろう。 「日常生活のなかでわれわれは、自分がさまざまな集団の一員だと考えている。そのすべてに所属しているのだ。国籍、居住地、性別、階級、政治信条、職業、雇用状況、習慣、好きなスポーツ、好きな音楽、社会活動を通じて、われわれは多様な集団に属している。こうした集合体のすべてに人は同時に所属しており、それぞれが特定のアイデンティティをその人に付与している。どの集団をとりあげても、その人の唯一のアイデンティティ、また唯一の帰属集団として扱うことはできない」20頁

    アマルティア・セン『アイデンティティと暴力』
  • 関東大震災と新聞記事ー「失われた13年」の通過点、すべては揃っていたー

    神戸大学の新聞記事文庫のデジタルアーカイブに関東大震災関連の記事が公開されている。 http://www.lib.kobe-u.ac.jp/sinbun/ これを読むと今回の東日大震災と不思議なほど新聞記事の論調が似ている印象をもつ。例えば米国や中国など世界が日に同情し、またその震災時の救命活動そのほかを称賛しているという記事。あるいは理想的といわれてきた耐震建築がなぜ崩壊したのか、など安全神話の崩壊を問題視する記事、 経済政策関係では、帝都復興院の創設とその活動を伝えるもの、火災保険の支払い問題、焼失地の政府買い上げ問題、失業者救済問題また暴利取締関係が目立つ。また復興資金では内債、外債での調達の配分をめぐる議論、さらには増税で調達すべきだという議論もある。 さらに注目すべきなのは、震災直前までの最大の経済論争は金位制への復帰であった。主流は旧平価での復帰である。これは震災後一時期

    関東大震災と新聞記事ー「失われた13年」の通過点、すべては揃っていたー
  • 高橋亀吉&森垣淑『昭和金融恐慌史』と震災の経済史

    昨日の未明にTwitterで書いたことを整理して掲載。 さて高橋亀吉と森垣淑『昭和金融恐慌史』(講談社学術文庫)は、容易に入手可能なので読んでいただきたいが、そこには関東大震災の与えた影響が克明に描かれている。日経済への打撃は、(原発問題自体の推移がよく判断しかねるが)関東大震災のショックがいかに強烈だったかがわかる。 日経済は第一次世界大戦の「バブル」から格的に回復することなく、自らの政策の失敗と国際的な経済環境の悪化により「二重の打撃」を受けている状態にあった*1。そこに関東大震災が猛烈なショックとなってあらわれた。高橋のあげたデータではその損失は45億円、当時の国家財政規模20億円を軽く上回る。 ちょっと研究室(群馬で崩壊中)にいかないと正確なデータがないが、高橋らの著作によれば震災の復興のための公債発行は11億円(当時の財政規模の50%超)、外債発行(5億5千万円)、また(今

    高橋亀吉&森垣淑『昭和金融恐慌史』と震災の経済史
  • 復興の経済学ー関東大震災の経済学者たちー

    以下は近刊予定の『福田徳三論』から一部分を抜粋したもの。前後の文脈に依存している箇所がありわかりにくいところもあるだろうけどそこはお許しを。 ーーー 厚生経済への移行過程ー復興の経済学ー 1923年(大正12年)9月1日、関東地方を中心にマグネチュード7以上の巨大地震が襲った。関東大震災の余震がまだ続く中、福田は震災の経済的影響の調査を行い、それを一書『復興経済の厚生的意義』にまとめた。 「ここに大正一二年(1923)年九月一日わが関東地方を襲った大震災は、端なくも、われらに、その力と勇気とを振い起こさしむべき機会を与えた。私は、同学諸君の驥尾に付して、この試験に応ずべく、一方書斎内において、他方街頭に出でて、自分の微弱なる心力と体力の及ぶかぎり、あるいは思索し、あるいは奔走し、あるいは調査し、あるいは勧説することに努めた」 。 福田は学生たちの協力を得て、またみずからも「水筒を肩に、ゲー

    復興の経済学ー関東大震災の経済学者たちー
  • シノドス・リーディングス『日本思想という病』(光文社)でカットした部分

    セミナー体では話したけれども原稿収録時点で全体からちょっと浮くので削除した部分を以下にコピペ。この部分はある意味で河上肇と福田徳三だけではなく当時の経済学者の国家観や植民地思想との関係できわめて重要。 韓国に対する二人の態度 皆さんご存知でしょうが。僕は著作に冬ソナを論じた『最後の「冬ソナ」論』(太田出版、2006年)というものがあったりするほど韓国映画やドラマが大好きです。 鶴見俊輔が「朝鮮と朝鮮人に対する日人の態度を見ることを通して、日人の質を一種の分光器による分析にかけることができる」と言っていますが、僕もそう思います。で、若いころの姜尚中はそれを徹底的にやった。それは『オリエンタリズムの彼方へ』という論集の中でまとめられています。 彼はその中で、福田徳三をかなり手厳しく批判している。どうしてかというと、福田徳三は、矛盾したことを朝鮮に対してやってしまったんです。 福田徳三の

  • 東谷暁を格付けする。〇点。 - Economics Lovers Live 田中秀臣のブログ

    東谷暁『エコノミストを格付けする』(文藝新書)について 東谷暁自身への格付けは、読者任せでいいということなので、評価を下す。零点。レイテンと読む。これが正しい答えであると思う。理由もあえて書かなくてもいいのだが、まず東谷の議論が公平ではないと思うからだ。彼のエコノミスト採点は、一見すると「公平」ぽいつくりであるが、中味は正直にいえばいったい何を論評したいのか意味がとれないものが多い。 彼の評価の基準は、「「一貫性}=時間を隔てても一貫性のある議論をしているか、「論理性」=その時々の論文あるいは発言のなかで論理性は保たれているか、「データ生」=議論のさいに根拠を提示しているか、「予測力」=提示した予想は当たっているのか、「文章力」=論じるさいの説得力はあったか」であり、それぞれ20点配分で満点が100点である。 まず東谷がエコノミストたちの格付けができるほどの経済学への理解のレベルに欠けるこ

    東谷暁を格付けする。〇点。 - Economics Lovers Live 田中秀臣のブログ
  • 書評:『フランスの子育てが、日本よりも10倍楽な理由』

    『週刊東洋経済』に掲載された書評の草稿 日の将来に暗い翳をおとしている少子高齢化問題。その対策をどうするべきか。書は、出生率の上昇に貢献したフランスの少子化対策をわかりやすく解説した良書である。著者自身の現地での子育て経験や、またフランス人家族へのインタビューを通して、フランスの家族政策や社会保障制度の仕組みを、具体的に知ることができて面白い。 フランスでは子育ては人生の愉しみなのに、なぜ日では子育てが人生の苦労になりやすいのか。書を読むと、それはフランス人と日人の人生観の違いというよりも、政府の制度設計の仕組みの違いに決定的に依存していることがわかる。例えば所得格差、男女間格差、長時間労働などを放置すれば、出生率が低下するのはあたりまえだと著者はいう。 確かに日ではこの三つの問題を政府はうまく対処できていない。例えば、フランスの男性がいかに子育てに積極的であるかが紹介されてい

    書評:『フランスの子育てが、日本よりも10倍楽な理由』