「実現は無理と言われ、だからこそ絶対にやってやると思った」。情報理工学系研究科の國吉康夫教授は静かにこう語ります。しかしその鋭い眼光は「真に賢く、人間のためになる人工知能」という壮大な目標をずっととらえています。 AIは人と同じように「考えている」わけではない 図1 現在のAI 「東京大学まで連れて行って!」と車に話しかければ自動運転で目的地まで行けるようになるでしょう(上)。しかし、乗客が突然苦しみ出して失神しても、車が目的地を変更して病院に急行することは(事前にそう設計されていなければ)ありません(下)。現在のAIは、人とは「考える方法」が異なるため、あらかじめ準備されていない状況には対処できません。 © 2017 東京大学 現在、音声認識機能や、自動運転機能といった人工知能(AI)は人と遜色のない振る舞いを見せます(図1)。ですが、音声認識機能がチェスをできず、将棋AIが車を運転でき