「体力の限界だった」――。 坂上由香さん(仮名・35歳)は、ため息をつく。坂上さんは昨秋、大学卒業後10年以上勤めた大手金融機関を退職した。 学生時代からキャリア志向が強かった坂上さんは、就職活動で人気ランキング上位の大手金融を志望、見事に内定を勝ち取った。100人以上いた総合職の同期社員のうち、女性は1割だけだった。 総合職の社員は20代で地方に飛ばされるのが慣例。同期が次々と地方に赴任するちょうどその頃、坂上さんは結婚して妊娠が発覚。会社側が便宜を図ってくれ、東京勤務を継続することになった。 東京から名古屋、さらに埼玉へ転勤 修羅場は3年後に訪れた。 「これ以上、特例で東京勤務を続けてもらうことはできない」 名古屋への転勤を言い渡された。外資系金融機関に勤める夫は東京を離れられない。3歳の長男を連れて三重・津市の実家に住み込み、往復約4時間かけて名古屋まで通勤する生活を続けた。
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