特に記憶に残っているのは70年代初頭のオイルショックです。私はアイスランドにいたのですが、ある晩街中に警報が鳴り響き、丘の上の祖父母の家から街を見渡すと、全ての電気が消えました。それはワクワクするような光景でした。白夜なので真っ暗ではなかったのですが、突然、あたりは青い光に包まれるんです。それは、窓の外のはるか遠くにある氷河の背後に回った太陽光の効果でした。当時は厚さ1㎞もあった氷の塊は純度が高いので、青い光だけが透過し、後光のようにあたりを照らすのです。本当に息を呑むような光景でした。家の中では祖母がテーブルの上にろうそくを灯し、その温かい光を囲んで私たちはただ座ってゲームをしたり、祖母は編み物をしたり。外の青い光と、家の中のろうそくの光は対照的でした。その時、初めて子供なりに「石油危機」を知ったのです。 大人になるにつれ、石油危機とは何かがわかってきました。それは美学だけでなく、政治的