阿部重夫主筆ブログ「最後から2番目の真実」 2008年8月 5日 [書評]「解読! アルキメデス写本」のススメ 8月3日、熊本日々新聞に書評を載せました。本は素晴らしいのですが、紙面のゲラをみたら、小生の名前がやけに大きいのが恥ずかしい。アルキメデスさまに申し訳ないと思いました。 * * * * * 『解読! アルキメデス写本 羊皮紙から甦った天才数学者』 リヴィエル・ネッツ/ウィリアム・ノエル 吉田晋治 監訳 (光文社 2100円+税) 「パリンプセスト」(Palimpsest)という奇妙な響きの綺語がある。古い羊皮紙の字を消して上書きした再利用の古文書のことだ。日本流に言えば「襖の下張り」である。 ああ、あれか、と思ったのはウンベルト・エーコの『薔薇の名前』。アリストテレスの『詩学』の欠落した幻の後半が、どす黒く汚れた反古の巻物から浮かびあがる場面があった。本書はその