オランダ移住を語る上で欠かせないのが、日本とオランダの間で1912年に締結された日蘭通商航海条約(The Treaty of Trade and Navigation between the Netherlands and Japan)です。100年以上も経っている戦前の条約ですが、日本人がオランダで労働許可なく就労したり、自由に事業をしたりする特権が認められる根拠になりました。 ただ、この条約、二度の世界大戦による混乱もあったためか、実際は長い間忘れ去られていました。再び注目を集めるきっかけになったのが、オランダにある文化センター「松風館」をめぐる裁判だったのです。 ── 日蘭通商航海条約が復活するきっかけとなった、松風館の裁判について詳しく教えていただけますか? カイパース氏:松風館はオランダのロッテルダムにある日本をテーマにした文化会館で、2012年に日本茶室と庭園の建設のために日本