県内の事件で警察の発表により容疑者とされたが、その後不起訴となった本人から支局に電話をいただいた。「不起訴になったのに今もネットに容疑者で名前が出ている。就職もできない」。新聞記事は不起訴を報じているが、逮捕時のニュースがネットに残り、就職活動にも支障が出ているという。 紙面では不起訴になったことを報じれば、新聞社として一応は該当者の名誉回復を図ったことになる。「一応」としたのは、読者が継続的に新聞を読んでいるのが前提で、「都合のいい論理」との批判も免れないからだ。ただ現実に根が深く問題なのはネットだ。 新聞記事はさまざまな形でネットに流れる。毎日新聞は、不起訴や無罪となれば、出稿部から本社の記事管理部門に連絡。メディア部門からニュースをネットで扱う契約業者に記事削除を依頼している。「容疑者」の名前はネットから消えるはずだがそうはならない。記事を無断引用し、ネットにばらまく業者や個人が存在