エドワードの案内でやって来たヴィルプーラムは、外国人が訪れるような事はまずありえない、どこと言って特徴もない普通の地方都市だった。だが翌日の早朝、町の中心に位置する公園を訪ねた私は、ありえない光景に言葉を失う事となる。 この道場のマスターはウラガ・ドゥライ師。もう60を越える年配だが、若い頃は選手として活躍し、地元のヴィルプーラムに落ち着いてからは仕事のかたわらボランティアでマラカンブを教え続けてきたと言う。早速見せてもらったその実技は、想像を超えた異次元ワールドだった。 公園の広場に一本の木の柱が立っている。それはぐらつかない様に数十センチの深さに埋められ、高さは2m5~60cmはあるだろう。太さは根元で20㎝弱。上に向かって軽くテーパーがかかって、最上部はバットの握りの様にくびれがついている。一見、クシュティで使うムクダルを長大にして握りを上に立てた様な姿だった。 その柱に向かって、ト
昨日今日と仕事の予定が激変。半端な時間に空きができた。 2ヶ月前に読んだ本の紹介をしよう。 今回紹介するのは『中世ヨーロッパの武術』 中世ヨーロッパの武術 作者: 長田龍太出版社/メーカー: 新紀元社発売日: 2012/03/01メディア: 単行本(ソフトカバー)購入: 43人 クリック: 403回この商品を含むブログ (7件) を見る2chまとめサイトやTogetterのようなサイトで西洋の剣や剣術についての記事が注目されている事がある。興味を持つ人がそれなりにいるということだろう。だが、そうしたまとめは全く信頼性のカケラもないようなものも多い。例えば西洋剣というと重さで叩きつけるようなものだとしか認識していないような話をよく見るが、それは実態と合わない。 西洋剣・剣術の研究や実践を行っている人はいるのだが、そうした人からの情報が手に入りやすいかたちで出てくることは稀だ。 この『中世ヨー
武道・武術の競技人口は減少の一途を辿っているという。 柔道ですらいまや20万人をきっており、剣道部も続々と廃部されつつあるようだ。 そう言えば、(袋に入った)竹刀を持って歩いている人なんてメッキリ見かけなくなった。 一頃、「実戦格闘技」などともてはやされ、K−1などの影響でそこここに空手道場が出来ていたが(90年代か?)、それもすっかり目立たなくなっている。 格闘技雑誌も書店で目に入ることがない。 そんな中で、新書で武術書が出ること自体、異例のことで興味深かった。 『使える武術』 長野峻也 ちくま新書(2010) 長野氏の解説は、ごく簡単な物理法則に基づいた合理的なもので、およそ神秘的(秘術)なところや精神論が無く、非常に納得性の高いものになっている。 ご自身で様々な武道家に学び、流派を研究してきただけに、多様な視点から批判的に検証を加えており、それが客観性と妥当性を高めている。 内容には
承前*1 田島正樹*2「朝青龍関の引退」http://blog.livedoor.jp/easter1916/archives/51969041.html 角力のこととは直接関係ないが、「クリシェ」を巡る、 どんな言葉も、それ単独でクリシェになることはありません。それが使はれる文脈が、暗黙のうちに俗情との結託を前提してゐる場合、それがクリシェになり下がるのです。ですから、この「俗情との結託」といふ言葉すらも、大西巨人氏が使ったときには持ってゐた鮮明な批判的エッジを失ふ場合、クリシェにならない保証はないわけです。 福沢諭吉は、当時すでにクリシェとして使はれることの多かった「国体」といふ言葉にさへ、生きた意味を割り当てました。つまり「他国に占領されない事が、国体を保持することの内実」としたのです(『文明論の概略』)。一般に学術用語は独自の含意をもつものですから、それを使はないと、短い表現で正確
追記ーここにこのブログエントリを書いた当時、youtubeから挙げた動画は、見事に全て消されていて、空白だらけになっているので、類似のものを探して、いくつか手当てしようかなとも思っている。まあ、消えているのはそういう経緯の証拠であり、同時に適当なのが見つかるとは思えなかったので。しばらく放置していた。でも意外と、アクセスが多いので、ちょっと考えている。 この‘Cat Kick Dragon Fist’カテゴリは,基本的な護身テクニックについて書いたり,思いつきの武術論考を書き散らしておりますが、しばらくこのカテゴリ書いていませんでした。私が信頼すると同時に過分にも評価もしていただいている武術への造詣が深い方がネットを休まれているので,その間,このカテゴリーを書くのも何となく控えておりました。あと,もう一つ,特に護身分野の話はいろいろ迷いが出てきておりまして,エントリ・テーマとしてはいくつか
例によってTAKESANさんのエントリからインスパイアされ,近接格闘術(Close Quarters Combat)のデモで使えそうなものをいくつかを視聴していると,どう見ても詠春拳の流れを汲むものが多いけど,まさかねと思っていたのは,私の勉強不足でした。 ちなみにこのプロモは,擬音など入れてやり過ぎ。ゲイマー系からの生徒さんでも狙っているのか,こういうのもあり何でしょうね。勝手に生徒さんの方が裏返しになったり,ひっくり返るのが多いので,まぁ,分かりやすいといえば,分かりやすいです。 CQCに使われている手の技は,多くはダン・イノセントからの流れだと思いますが,彼は詠春拳からジークンドーを組み立てたブルース・リーの技術の直接的な伝承者です。Systemaの手の技も似た部分がありますが収斂現象を感じます。太極拳とは全く風格が異なりますが,基本術理には共通性を感じます。超接近戦を旨とするため,
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