『歴史群像:太平洋戦争1 「日米激突」への半世紀』 “お坊っちゃん”な日本海軍と“放蕩息子”な日本陸軍……では、そうなったのは、なぜか? 現代の戦争は、始まった段階で終わりまでの道程が定められていると言っていい。その点で、この「日米激突」への半世紀はさまざまな示唆に富んだ良書である。 興味深く読んだ記事のひとつが、片岡徹也先生による日本陸海軍の用兵思想に関する分析だ。副題が“お坊っちゃん”と“放蕩息子”とあるように、両者の用兵思想のお粗末さを厳しく指摘する内容となっている。 マハン流艦隊決戦思想に傾倒したあげく、自分の考えた論理で世界を理解したような気分になった『中二病患者』な日本海軍。 必勝の信念のもと戦略を軽んじ、敵が何を考えようが自分がやりたいようにやって勝つことしか考えない『夜郎自大』な日本陸軍。 少々、過激な物言いもあるが片岡徹也先生の指摘はおおむね正鵠を射ていると私は思う。