初出 ironna(産経新聞) 『サンダカン八番娼館』(山崎朋子)を二十年ぶりに読み返した。「からゆきさん」と呼...
インターネットがはじめて専門職やマニア以外の人間にも利用可能となり、そして拡大を始めたのは1990年代中盤のこと。よってこの「情報革命」から、まだ歴史は20年しか経過していない。本書は、インターネットが社会に何をもたらすかをユートピア的に語ることのできた第一世代の楽観が、どうやらそうでもないらしいと分かりはじめたころの著作である。本書が世に出たのは2001年はITバブルが崩壊した年。一方で翌年には日本でのインターネットの人口普及率が50%を超えている。 これをどのように理解するべきか。特に、民主主義社会にとってどのような影響を及ぼすのかを論じたのがこの本。それがプラスになるか、マイナスになるか。作者は差引としてプラスになると信じているとするが、重要なのはその差引の結果ではなく、利益になる部分も害になる部分も把握することだという。 そのための本著でのキーワードは「フィルタリング」、「集団分極
0.ネット右翼とは何か 「ネット右翼」とはなにか・・・ということが語られることがある。 この言葉が一般に流通されるようになったのは、ここ数年くらいのことだと思う。おおよそのイメージでいうとこんなところであろう。 「ネットで思想形成され、その主張を主にそこで行う、「嫌韓」「反中」を軸に歴史修正主義者(復古的ナショナリスト)として政治化した右派排外主義者」としておこう。 ポイントとなる要素に分解してみよう。 (1)ネットで思想形成されている。 (2)「嫌韓」「反中」を基本的に共有する。 (3)歴史修正主義者(復古的ナショナリスト)である。 (4)排外主義的主張をもつ 以下、このネット右翼の起源について考察する。いったん自分の仮説として整理するためである。 なお、この考察の「歴史修正主義者(復古ナショナリスト)」「ネット右翼」「排外主義者」のクラスター分類は前記事のとおりである。 1.政治化した
関東大震災直後の悲惨は震災直接の被害のみならず「第二の悲劇」で増幅されている。 いわゆるデマと流言が引き起こした虐殺事件である。これには朝鮮人のみならず日本人までもが多数巻き込まれ虐殺されることになった。 さて、このデマの出所について吉村昭の推察がちょっと興味深い。 いわく、いわゆる朝鮮人が「井戸に毒をいれている」「集団で暴動を起こしている」「爆弾を持っている」というデマは、横浜でおきた「横浜震災救護団」による集団強盗事件が出所として拡散していったのではないかというもの。 ドヤ街であった中村町に住んでいた立憲労働党の山口正憲という人がいる。この男が震災終了後すぐに、前述の「横浜震災救護団」を急遽組織し、震災後の物資獲得を名目に、日本刀や銃器などで武装し、横浜市内の商店を数十人で荒らしまわり、食料や金銭などを脅し取っていたというのだ。どうやらこれがデマの出所になったのではないか、それが吉村と
安保法制を巡って、その反対派が国会議事堂前でデモを行いました。過去最大規模だそうです。 その数は主催者発表で10万人超。警察発表では3万人だそうですが、この手の数字を警察が控えめに発表するのはいつものことですから、10万人は超えていなくともこれよりは多かったでしょう。 さて、数字の大小はともかくも、このデモの結論は明らかです。 この法案は可決されます。間違いありません。 そして、このことは国会議事堂前に集まったすべての人は皆知っているはずです。 この類のデモというのは基本的に議会制民主主義の中では最初から敗北しています。法案を提出した自民党が議席の絶対多数をもっているのですから当たり前です。そしてそれでもやるというのは「敗北主義」です。 ここでいう敗北主義とは、負けるとわかっていてもやらねばならないという態度のことです。なぜならばそれが次につながるからです。そうすると、この敗北主義というの
「地獄の黙示録」は、当初ジョージ・ルーカス監督のもとで撮られる予定だった。 当時、「THX-1138」という悪評紛々たるSF前衛映画をつくったばかりのルーカスは、その後始末に追われていた。ギャラの取り分で揉めている間に、所属する映画会社ゾアトロープの社長であるコッポラは、勝手に予算を集めて、フィリピンでその映画の撮影を開始してしまった。 憤懣やるかたないルーカスは、これまで考えていたその映画のコンセプトをあきらめず、「オレはオレの『地獄の黙示録』をつくる」と言い捨て、次の作品の構想を開始した。 「THX-1138」の失敗から今後は一転して大当たりをとった「アメリカン・グラフィティ」のロイヤリティをつぎ込み着手したその物語は、最初「メース・ウィンドゥの物語」と名づけられていた。「遠い昔、銀河の遥か離れた片隅で・・・」というお伽話風のテロップから始まるその作品は、後に「スターウォーズ」というタ
樋口直人氏の『日本型排外主義―在特会・外国人参政権・東アジア地政学― 』をたいへん興味深く読んだ。 おそらく現在の日本の排外主義者(ネット右翼)の研究分析でもっともよくまとまったものだと思う。 西欧の先行する極右研究を参照しながら、特に現在流通している日本の排外主義者像を数値データを使いながら再検証する。特に、在特会を中心に30名以上の排外主義者のヒアリング(ライフヒストリー分析)から導き出した日本型排外主義者像とその形成要員の分析は、おそらく今後、排外主義者像を語る上でのベーシックなものとなると思われる。 以下、概要をまとめる。 【概要】 1.90年代に出現した歴史修正主義がまずは「マスターフレーム」である。 2.ネットへの接触とともに、その右派的マスターフレームに触れて、そこから排外主義フレームへ流れた。 3.そのため、もともとは「外国人問題」に不満やストレスがあったのではなく、嫌韓・
2002年のワールドカップ現象をもとに日本の若年層ナショナリズムについて分析したのは『ぷちナショナリズム症候群』。 その続編ともいえるのは本書、三浦展の『愛国消費 欲しいのは日本文化と日本への誇り 』ですね。2010年の動向を探っているが、ほとんど古びていない。地元志向や家族重視というところは、例の『マイルドヤンキー 』(2014)につながると思われる。そういう意味でもおもしろい。 ただし、もちろんこの人はマーケッターの出身なわけだから、政治的な話には踏み込まない。もちろん話題になった『下流社会~新たな階層集団の出現~』で若者の右傾化を主張して、ずいぶんデータの取り扱いで批判されたということもあるのだろうが。(ただしこの叩かれ方は香山リカの『ぷちナショ』の登場の時と非常に似ている) そこが不満といえば不満だし、ネット界隈の動きもチェックしてないようだから、もうこの頃には、かわいいギズモだっ
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