「若い人が不安なく修業できるようにしてほしい」。大阪市役所で3日開かれた文楽補助金を巡る意見交換会。橋下徹市長と初めて向き合った技芸員(演者)らは補助金の透明化などの要請に大筋で合意する一方、厳しい生活実態などを率直に訴えた。「特権意識にまみれた集団」などと文楽界を批判してきた橋下市長もこの日は「橋下節」を封印し、技芸員らの訴えを理解する姿勢を強調した。【茶谷亮、林由紀子、原田啓之】 技芸員らは紋付きはかまに身を包み、険しい面持ちで市役所の会議室に並んだ。 「我々は47人だが、討ち入りに来たわけではない。一日も早く舞台に専念させてほしい」。会の冒頭、太夫の豊竹咲大夫(とよたけさきたゆう)さん(68)は、11月に上演する「仮名手本忠臣蔵」になぞらえ、対話姿勢を強調した。 「大阪で生まれ育った文化遺産を助けていただきたい」。会は約2時間半に及び、技芸員はベテランから若手まで、口々に伝統継承の重
飲酒が絡んだ市職員の不祥事が相次ぐ福岡市で、職員に外出先での飲酒を1カ月間禁じる「禁酒令」が“発令”された。前代未聞の強権発動に、市民からは理解を示す一方で、「ストレスがたまりそう」「やりすぎだ」との批判の声も聞かれた。 「1カ月ぐらい外で飲まなくても、家で飲めれば十分だ」。続発する不祥事に、同市のタクシー運転手、馬場定一郎さん(54)は当然といった様子。ただ「悪いことをしていない周りの職員が大変」と一部職員の不祥事に巻き込まれた形の職員に同情した。 これに対し、反発するのが同市博多区の無職、北野正さん(41)。「市長といえども、そこまで制限をかけて良いものか。飲まないとストレスがたまるだろう。家で飲むのと外で飲むのは全然違う。やりすぎだと思う」と話した。
放射性セシウムに汚染された稲わらが牛のえさに使われていた問題で、稲わらを出荷した宮城県大崎市の販売業の男性が18日、毎日新聞の取材に応じた。同市は福島第1原発から約150キロも離れている。「爆発直後の風向きも別の方角だったし、汚染されていたとは思ってもみなかった。申し訳ない気持ちでいっぱい」と話した。 男性は3月下旬~4月、大崎市内の複数の農家から水田に置かれていた稲わらを購入し、福島県と山形県に出荷。今月に入り、福島県南相馬産の肉牛からセシウムが検出される問題が起きたため、「商売上、『安全』の証明書が必要」と思い、民間の調査機関に稲わらを送ってサンプル調査を依頼した。 この結果が届く前に、福島県の調査で汚染が明らかになった。「商売を始めて約20年。客の信頼を損ねないよう一生懸命やってきたのに、こんな結果は残念」と唇をかむ。 国や宮城県に対しては、「稲わらの危険性をもっと周知徹底してくれな
<この国はどこへ行こうとしているのか> ◇1000年先を見なければ--梅原猛さん(86) 「ちょうど新幹線が青森まで延びて、東北に光が当たりだした、まさにそんなときでしたからなあ……」。梅原猛さんの顔は憂いを帯びていた。この3月20日で86歳になったばかり。京都の「哲学の道」近くの自宅は祝いの花かごであふれながらも、マグニチュード9・0の巨大地震は遠く離れた古都の哲学者の心を大きく揺さぶっていた。 根っからの京都人のように見られがちだが、仙台市の生まれ。「母は私を産んですぐ結核にかかり、私の生後1年3カ月で死にましてね。それで伯父に引き取られ、愛知県で育ちました。母の出身地は宮城県石巻市の渡波(わたのは)というところです。網元でした。ただ養父母は昔の話を語らなかった。だから、東北の記憶がない。いや、あったかもしれんが、自ら否定したんでしょうな」 そんな東北を旅したことがあった。1983年、
◇関電「注入方法は対策済み」 東京電力福島第1原発の使用済み核燃料プールで、水位が低下して爆発が起きたことを受け、県内でもほぼ同じ構造のプールの安全性に不安の目が注がれている。 通常、プールでは臨界が起きないよう核燃料を一定の距離で水中に並べ、水を循環させて冷ましている。だが福島第1原発4号機のプールでは、水が循環しなくなって沸騰し、核燃料が露出したとみられている。 経済産業省原子力安全・保安院によると、プールの核燃料が原子炉から取り出されたばかりで高温の場合に核燃料が露出すると、核燃料が溶けて放射性物質が出てくる恐れもあるという。プールと外界を遮へいするのは原子炉建屋の壁だけで、放射能量が大量であれば外部へ漏えいする危険性があるという。 県内に11基の原発をもつ関西電力は「仮に電源喪失してもプールには十分な水があり、温度上昇は緩やか。沸騰するまでに各発電所に配備しているディーゼル駆動の消
東日本大震災による東京電力福島第1原子力発電所の被災は、高濃度の放射能漏れという最悪の事態に発展した。政府は国民に対して「冷静」を求めるが、なぜ、原発の暴走を制御できないのか。安全は保たれるのか。それぞれの立場から専門家に聞いた。 ◇まずは外出せぬこと--名古屋大教授・量子工学専攻、井口哲夫さん(56) 今回の事故では、既に放射性物質のセシウムが周辺に放出されている。放射性物質が発する放射線は、細胞の遺伝子を傷つけてがんの発生リスクを高める。大量に被ばくすると直ちに人体に影響が出て、リンパ球の減少などが起きる。リンパ球をつくる骨髄は特に放射線のダメージを受けやすいからだ。 一般人の1年の被ばく限度は1ミリシーベルト。15日に3号機周辺で記録された放射線量は時間当たり400ミリシーベルトでその350万倍。リンパ球の減少が起きるとされるのは累計500ミリシーベルトで、観測した場所に1時間半程度
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