鉄道開業150年を迎える中、ローカル線を見直す議論が始まろうとしている。国土交通省の有識者会議が7月、見直し基準をまとめたのに続き、JR東日本が初めて収支を公表した。廃線が広がる可能性もあるが、地域経済に詳しい中村智彦・神戸国際大教授は「『鉄道があれば発展する』という発想を転換すべきではないか」と指摘し、「廃線=悪」の思考停止から抜け出さなければ未来はないと訴える。【聞き手・宇田川恵/オピニオングループ】 問題にフタをしてきただけ ――ローカル線を見直そうという動きが出てきた背景をどう見ますか。 ◆直接的なきっかけは、新型コロナウイルス禍で乗客が激減し、鉄道各社の経営が一気に悪化したことです。しかし、ローカル線の問題はいずれ正面から向き合わなければいけないと、鉄道会社も国も自治体も分かっていました。ただ、こんな急に状況が悪くなるとは誰も予想していなかった。コロナ禍が起きた直後、鉄道大手の幹