訓読 >>> 4038 玉櫛笥(たまくしげ)いつしか明けむ布勢(ふせ)の海の浦を行きつつ玉も拾(ひり)はむ 4039 音(おと)のみに聞きて目に見ぬ布勢(ふせ)の浦を見ずは上(のぼ)らじ年は経(へ)ぬとも 4040 布勢(ふせ)の浦を行きてし見てばももしきの大宮人(おほみやひと)に語り継ぎてむ 4041 梅の花咲き散る園(その)に我(わ)れ行かむ君が使(つかひ)を片待(かたま)ちがてら 4042 藤波(ふぢなみ)の咲き行く見れば霍公鳥(ほととぎす)鳴くべき時に近づきにけり 要旨 >>> 〈4038〉早く夜が明けてほしい。明けたら布勢の海の浦を歩みながら、玉でも拾おう。 〈4039〉評判だけ聞いてまだ目にしたことのない布勢の浦を、見ないまま都には帰るまい、たとえ年が過ぎようと。 〈4040〉布勢の浦に出かけて見てきたら、都へ帰って大宮人たちに必ず語り継ぎましょう。 〈4041〉梅の花が咲いて