中学3年になったころ、理由なく頻繁に転ぶようになった少女。病院での診断結果は、将来に絶望感を覚えるような難病だった-。 「何のために生きているのだろうか」。そんな悩みや症状、周囲への感謝、生きる意欲…をつづった日記は昭和61年、「1リットルの涙」(エフエー出版)として出版された。2年後、彼女は25歳で亡くなった。彼女の生きざまは映画やドラマにもなり、多くの人に感動を与え続けている。 木藤亜也さん。小脳を中心に萎縮が生じ、運動機能が失われていく難病「脊髄小脳変性症」だった。同病には多くの疾患が含まれ、遺伝による「遺伝性」と、遺伝に関係のない「孤発性」がある。当時はいずれも原因不明だった。 しかし、最近の研究で同病に関連する遺伝子が判明しつつある。東京大学大学院医学系研究科の辻省次教授(神経内科学)は「遺伝性は約9割で原因遺伝子が特定され、孤発性も原因解明が進んでいる」という。 原因遺伝子が特