ブックマーク / cruel.org (14)

  • トマス・カーライル (Thomas Carlyle)

    トマス・カーライルはスコットランドの陰気な隠者にして、きわめて影響力の高い作家。イギリスにおけるヨハン・ウォルフガング・フォン・ゲーテの弟子であり、ドイツロマン主義の後継者。若かりし日にはまた、サンシモン主義がかなりお気に入りで、チャーチスト運動も支持していた。だが後年にかれが政治経済問題についての立場は、反動トーリー主義に近いものだった。 カーライルは、当時イギリスに誕生しつつあった工業社会に対する、情熱的で説教師じみた反対で有名だ。その見解は『チャーチズム』(1840) や、特に『過去と現在』 (1843) によくあらわれている。後者はフリードリッヒ・エンゲルスの愛読書だった。カーライルは経済学者でもなく、学者ですらなかった。むしろ旧約聖書の預言者に近い。経済学者や経済学に対する根っからの蔑視は有名だ——経済学を「陰気な科学」と名付けたのはカーライルだ。その見解によれば、産業革命の弁明

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    maeda_a 2019/09/26
    奴隷制を擁護する文中で経済学を「陰気な科学」と呼んだ人。
  • CUT 2000/07 Book Review

    ポストモダンに病んで/夢は枯れ野をかけめぐる。 (『CUT』2000 年 08 月) 山形浩生 いや、ぼくは当にすごいと思ったのだった。高校時代に伊丹十三編集の「モノンクル」という雑誌でロラン・バルトなんかに触れて、そこから構造主義言語学とかもちょっとかじったのだった。ふーん、ことばは構造的に決まっているのか。意味とことばを写像で記述したら、言語のエッセンスが抽出できるんじゃないかな、とかぼんやり思った。政党をベクトル化してその和で政治動向を予測できるんじゃないかとか、高校生のぼくはそんなことばっか考えていたのだ。学校で習う社会や国語は、羅列ばっかでつまんなくて、もっと質がえぐり出せんのかと思ってたんだもの。だから、ポストモダン思想家の話をきいて、ホントにすごいと思った。ジュリア・クリステヴァが詩的言語を厳密に数学的に定式化した? おお、やっぱできるんだ! ジャック・ラカンは無意識の言

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    maeda_a 2019/01/03
    “訳書を読んでまるっきりわけがわかんなくて…ぼくがまだ数学とかの勉強が足りないので…わかんないのだ、と思っていた。いつか勉強して出直してこよう”/ポストモダンに病んで/夢は枯れ野をかけめぐる
  • How To Become A Hacker: Japanese

    なぜこんな文書を書いたか わたしは Jargon Fileの編集者で、またその他似たような有名文書いくつかの著者なので、しばしば熱心なネットワーク初心者から「ウィザード級の大ハッカーになるにはどうやって勉強すればいいの?」といったようなお尋ねメールを頂きます。でもかつて 1996 年に、こんな大事な問題を扱った FAQ や Web 文書 はみあたらないことに気がつきました。というわけで、これを書き始めました。多くのハッカーがいまやこれを決定版と見なしているし、つまり実際に決定版なんだと思います。でも、この問題について自分が唯一無二の権威だと主張するつもりもありません。気にくわなければ、自分なりのヤツをどうぞ。 この文書をオフラインで読んでいるなら、最新版は次のところにあります。 http://www.catb.org/~esr/faqs/hacker-howto.html なお、この文書の

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    maeda_a 2017/07/07
    「数年後に Ubuntu がデフォルトで導入した、醜悪でほとんどつかいものにならない「Unity」デスクトップインターフェースには要注意」次のUbuntu18.04からUnityをやめてGNOMEに戻るとか.
  • "The King Never Smiles" Review

    君主制に未来はあるか? Paul M. Handley, The King Never Smiles (Yale University Press, 2006) (『一冊の』2007 年 11 月号 pp.26-7) 山形浩生 要約: 一見、揺るぎない王制を敷いているかに見えるタイの王さまも、実はかなり波瀾万丈の生涯を送っており、もともと王位がめぐってくるはずがなかったのが各種の事故で現職に至る。兄の謎の死、各種クーデターによる失脚と復位の連続、権力の控えめな利用によるキャスティングボート保持戦略などが有効に機能してかれの現在の不動の地位がある。隣国カンボジアのシアヌークとは大違いだ。だがこれからは? 民主主義の世の中にあって、王さまや皇帝や天皇の位置づけはとてもむずかしく、その愛憎半ばするような人気の一端も、そのいかにもあいまいなポジショニングにもあるのだろう。なぜ王様は王様なの? な

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    maeda_a 2016/10/15
    「最終的には反民主的な存在である王室、そして結局は既存の(決して腐敗していないとは言い難い)産軍権益との結びつきで成立している王室が、社会の成熟の中で今後どうたちまわるのか?」
  • ピケティ『21世紀の資本』訳者解説 (pdf, 750kb)

    ピケティ『21世紀の資』 訳者解説 (v.1.1) 2015.1.23-2.1 山形浩生 hiyori13@alum.mit.edu この資料はクリエイティブコモンズ Attribution-ShareAlike 4.0 国際ライセンス下で公開されています. 今日の構成 • 1. 『21世紀の資』とピケティのえらさ • 2. あらすじ: r > g から格差拡大へ • 3. 格差是正の処方箋は? • 4. ピケティの受容・誤解・批判 • 5. 日への示唆とは? • 6. 落ち穂拾い 2 まずはじめに…… • ピケティのと、ピケティの他の論文での記述と、 ピケティがインタビュー等での発言とは、分けて 考えよう! – がいちばんストイック。たぶん意図的に書いていな い話もかなりある。 – 前二つは、それなりにきちんと考えてまとめたものだ けど、インタビューは(特に日のことなんかは

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    maeda_a 2015/02/02
    「多くの論者は流し読みしかしていないので、肯定部分と否定部分の好きなほうだけつまみ食いしている!」「融通無碍に使えるピケティ本」
  • ISISについて:池内恵と対談

    イスラム国躍進の構造と力 『公研』2014年10月号 「対話」 池内恵 VS 山形浩生 山形:イスラーム国の人たちの言動や行動を見ると、ずいぶんと前近代的で昔に戻ったかのような印象を受けます。その一方で彼らの意識には、中東の民主化への動きとも言える「アラブの春」が大きく関係しているのだと思います。池内さんは今回のイスラーム国の登場と「アラブの春」の関係をどのように捉えていらっしゃいますか。 池内:「アラブの春」が一回りしたことで中東地域に生まれた環境は、イスラーム国にとって非常に都合の良いものになりました。その環境と言うのは、中央政府の揺らぎ、弱体化であり周辺領域の統治の弛緩です。そこに、元来イスラーム国が依拠するイスラーム過激派の戦略論がぴたりと合わさった。9・11テロに対して、アメリカは大規模な対テロ戦争を展開し、イスラーム過激派は軍事的にも情報的にも経済的にも追い詰められました。それ

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    maeda_a 2015/01/30
  • T.M.ディッシュ「キャンプ収容」pdf(campconcent.pdf)

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    maeda_a 2015/01/29
    「モルデカイ」という名前を聞いて,何となく「モルデカイ・ワシントン」という登場人物が出てくる小説を思い出し,最終的にディッシュだったと思い出せてスッキリ.超スッキリ.
  • 黒田東彦「最近の金融経済情勢と金融政策運営」(『公研』2014年12月号 pp. 52-77, pdf 1.45MB)

    maeda_a
    maeda_a 2014/12/22
    「榎本: 私が懸念しているのは、総裁が任期を全うされた後のことです…別の方が総裁になられた時に、またかつてのような政策運営に戻ってしまうのではないか」
  • 富岡製糸工場のすごい技術移転 - 『山形浩生の:世界を見るレッスン』 連載 6 回

    『山形浩生の:世界を見るレッスン』 連載 6 回 富岡製糸工場のすごい技術移転 月刊『マガジン・アルク』 2006/09号 要約:富岡製紙工場の女工の状況を描いた『富岡日記』は資料的価値だけでなく読み物としても実におもしろく、その技術を学んだ彼女が地元に戻ってはじめた六行社の記録も驚異的。一年でこれだけの技術を身につけて教える側にまわるとは! なぜ当時の日の女工にそれができたか(そしていまの途上国にできないか)は大きな課題だ。 仕事が受注できずにずっと日にいると、だんだん部長の視線が厳しくなってきて最近なかなか肩身の狭い状況なのだけれど、その分国内で、日の産業発展とか工業化についてあれこれ考えたりしている今日この頃。その中で久しぶりに棚から引っ張り出して、読むだけでなくスキャンしてインターネットにあげてしまったのが、「富岡日記」というだ。 これは実におもしろい。明治の富国強兵策の

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    maeda_a 2014/04/28
    「なぜ国が発展するか、発展できるのかという謎のいちばん大事なところ」
  • 「エコノミスト」より:スタバの節税など

     目を覚ましてコーヒーの香りを: スタバの節税バッシング in UK (The Economist Vol 387, No. 8580 (2012/12/15) p.58, "Wake up and smell the coffee") 山形浩生訳 (hiyori13@alum.mit.edu) 「これは空前のコミットメントです」とイギリス・アイルランドのスターバックスの親玉、クリス・エングスコブは 12 月 6 日に述べた。この日、同社は 2013-14 年度にイギリス税務署に対し、法的に必要とされる納税額を年間およそ一千万ポンドうわまわる金額を自発的に支払うと発表したのだった。別に当局から何らかの圧力がかかったわけではない。イギリス歳入局に対して、追加ショットの税金を納めることについて、税務署は特に相談を受けていないのだ。スターバックスは、怒り狂ったイギリス消費者をなだめるためにこう

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    maeda_a 2013/01/04
  • 橋本治vs山形浩生対談

    山形浩生 『atプラス04』2010年5月 特集:エコノミストはなぜ経済成長の夢を見るか? 要約:経済成長は当に必要なのかどうかとか、それが要るのはわからなくもないが、橋治は個人としてはなくてもかまわないとかいう話。 ——橋治さんは『大不況にはを読む』(中公新書ラクレ、二〇〇九年)の中で、「いるんだかいらないんだかわからないものを買って経済を拡大させる」という、成長が前提となった産業革命以後の体制にブレーキをかけ、「自分のものは自分で作る」という、経済タームでは「保護主義的」と呼ばれるあり方を、人間のあり方に立脚する立場から「自立」として提案されました。しかも、「我が身のありよう」を考えるのも大事なら、現実生活を維持するために働く「金稼ぎ」も大事であり、これは二者択一の問題ではなく、両者は両立して存在すべきだと書いていらっしゃいます。だからこそ、「大不況」という経済の話と、人のあり

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    maeda_a 2012/07/03
  • 「買い物かごで投票?」 よりフェアトレードの部分を抜粋

    (The Economist Vol 381, No. 8507 (2006/12/09), "Voting with your trolley" p. 69) 山形浩生訳 (hiyori13@alum.mit.edu) フェアトレード製品は問題を悪化させるし、まずいし、そもそも来の目的を果たしていない。 (有機品の部分は割愛) じゃあフェアトレードはどうだろう。「フェアトレード」商標ラベルを認証発行する FLO インターナショナル (Fairtrade Labelling Organizations International) のウェブサイトによれば「伝統的な市場がどんなに不公正なときでも」生産者が公正な価格を受け取れるように保証することで「低価格の不正」を是正するのがフェアトレードの狙いだ。これは要するに、ある一定の労働と生産基準さえ満たせば、市場価格より高い「フェアトレード」価

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    maeda_a 2012/05/04
    「フェアトレード製品は問題を悪化させるし、まずいし、そもそも本来の目的を果たしていない。」
  • どうして為替レートはこんなに不安定なんだろうか。(Paul Krugman: Exchange Rate Instability. , 1989. MIT Press)

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    maeda_a 2012/04/11
    メモ:海水/淡水という言い回しは、1989年のこの文章に既に出てくる
  • 倫理的な食べ物はかえって有害かもしれない。

    倫理的なべ物はかえって有害かもしれない。 (The Economist Vol 381, No. 8507 (2006/12/09), "Good Food?" p. 10) 山形浩生訳 (hiyori13@alum.mit.edu) 賢いお買い物で世界がよくなると思ったら大間違い。かえって悪くするかもしれませんぞ。 「政府が動くのを待つ必要はありません……フェアトレードがすばらしいのは、買い物できるということです!」とフェアトレード運動の代表者が今年、イギリスの新聞で語っていた。同じように、ニューヨーク大学の栄養学者マリオン・ネッスルは「有機品を選ぶということは、農薬の少ない、土壌の豊かな、水のきれいな地球に投票すると言うことなのです」と論じている。 買い物こそが新しい政治だという発想は、確かに魅力的だ。投票箱なんかどうでもいい。買い物かごで投票しようというわけだ。選挙はあまり頻繁に

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    maeda_a 2011/06/03
    「倫理的」食物の三大品種、有機食品、フェアトレード食品、地元食品 (地産地消) を疑問視するべきまっとうな理由がある。
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