1本の草が生えているとしよう。その草に蝶や蛾などの幼虫がやって来る。茎を一生懸命這い登り、見るに美味しそうな葉を食べ始めようとすると、地下から“電話”がかかってくる。「おいおい、この草はもう先客がいるんだ。別の草を探してくれ」と。 まるで、子供向けの絵本に出てきそうな話だ。しかし、最近になって、同じ1本の植物を地下の昆虫と地上の昆虫が共有した場合、どちらの昆虫も成長の速度が低下する現象が存在することがわかってきた。 そして、同じ草を地下の昆虫と地上の昆虫が共有するのを防止する仕組みが自然界に存在することをオランダ生態学研究所(NIOO-KNAW)の研究者たちがこのたび発見した。同研究所のロキシナ・ソレル女史は、“緑の電話線”という詩情豊かな比喩で、その仕組みを説明している。 もちろん、音声による“電話”とは、まったく違う仕組みである。根に巣食っている地下昆虫が化学物質を根の中に送り込む。こ