被告人の犯人性が争われた事案において,原審が有罪の根拠とした間接事実の一部に事実誤認があり,かつ,証拠から認められる間接事実によっては,被告人が犯人であると合理的な疑いを超えて立証されたとは認め難いとして,原判決を破棄し,被告人に無罪の言渡しをした事例。
1 訴訟条件である告発の存在は,上告審において,証拠調手続によることなく,適宜の方法で認定することができ,関税法140条所定の告発書の謄本が原判決後に原審に提出されて記録につづられ,その写しが上告審から弁護人に送付されている事情の下では,上告審は当該証拠により告発があったことを認めることができる 2 1,2審が訴訟条件である関税法140条所定の告発について調査を怠ったという法令違反は,上告審において告発があったことを認めることができる場合には,判決に影響を及ぼすべきものとはいえない
知的障害をもつ女性(30)が強制わいせつの被害を訴えた刑事裁判で、1審の宮崎地裁延岡支部は昨年 9月、女性の「告訴能力」を否定し、検察官の起訴を無効とする判決を言い渡した。「女性には裁判所に訴える能力がない」。公訴棄却判決は、いわば「門前払 い」の内容だが、女性の周辺にはその判断への疑問の声が相次いでいる。12月21日に予定される控訴審判決を前に事件の周辺を歩き、司法における知的障害 者の人権を考えた。 「携帯で胸を撮られた。みんなに見せるって」。昨年2月24日夕、宮崎県北部の山あいにある福祉作業所。家族や職員ら15人がかたずを飲んで“告白”に聞き入っていた。 きっかけは数日前、女性が友人に相談したことだった。本当だと思った職員は警察官にも同席を頼んだ。 「自分で男について行ったの」という問いに「1回か2回断った。でも早よこれ(車)に乗らんねって怒られた」。「何をされたの」「いやらしいこと
国際捜査共助の要請に基づき中華人民共和国において作成された供述調書が刑訴法321条1項3号の書面に当たるとされた事例
主 文 本件抗告を棄却する。 理 由 本件抗告の趣意は,憲法違反,判例違反をいう点を含め,実質は単なる法令違 反,事実誤認の主張であって,刑訴法433条の抗告理由に当たらない。 なお,所論は,第1審の無罪判決により勾留状が失効した後,控訴審が被告人を 勾留したのは,勾留の要件を欠き違法である旨主張するので,職権で判断する。 第1審裁判所が犯罪の証明がないことを理由として無罪の言渡しをした場合であ っても,控訴審裁判所は,第1審裁判所の判決の内容,取り分け無罪とした理由及 び関係証拠を検討した結果,なお罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由があ り,かつ,刑訴法345条の趣旨及び控訴審が事後審査審であることを考慮して も,勾留の理由及び必要性が認められるときは,その審理の段階を問わず,被告人 を勾留することができるというべきである(最高裁平成12年(し)第94号同年 6月27日第一小法廷決定
覚せい剤取締法違反(使用)の罪に問われた男性被告(36)の判決で、東京地裁の大西直樹裁判官は14日、逮捕手続きが違法だったとして、無罪を言い渡した。求刑は懲役3年だった。 弁護人の説明では、被告は1月26日朝、自宅から無理やり警視庁小松川署に連れて行かれ、同日午後4時46分に逮捕状が発付されて逮捕された。真冬にもかかわらず長袖シャツ1枚しか着ておらず、履いていたのはスリッパだった。 弁護人によると判決は、被告が上着を着ていない上、自宅から連れて行く際の写真を警察が撮影していない点などを不自然と指摘。「本人が行くと言った。任意だった」とする警察官の証言も信用性がないとして「逮捕令状がないのに事実上の逮捕をしており違憲、違法」と判断したという。 東京地検の八木宏幸次席検事は「主張が受け入れられなかったことは遺憾。判決内容を検討し適切に対処したい」とのコメントを出した。 被告は1月に東京都内やそ
かつて留置場の看守という職務は、若き警察官が刑事になるための登竜門であった。 -ホシは飛ぶもの逃げるもの。 被疑者と呼ばれる人々の生態に直面し、若手は彼らの扱い方を学んでいく。年配刑事の調べの機微の絶妙さは、たいがい看守時代の経験から培われたりしていた。関連記事取り調べ可視化、検事9割「真実の供述…特捜部、特刑部事件、可視化実施は10件記事本文の続き 定年近いM刑事は看守時代、爆破テロの極左過激派容疑者に遭遇した。取調室では黙秘。ふてぶてしい姿に、公安刑事たちは「こいつは冷血だ」とこぼしていた。 M氏にはそう思えなかった。留置場での容疑者は「担当さん」と彼を呼び、雑談に応じて笑う。犯した罪は冷血だが、「留置場での彼は無邪気な若者。人の痛みを感じる人間性はあった。極左思想に支配されていても攻め手はあったはず」。一面で人を判断してはいかん、という戒めになった。 留置場にはさまざまな人間がいた。
弁護人に対し証拠開示することを命じる旨求めた弁護人からの証拠開示命令請求(刑訴法316条の26第1項)を棄却する決定については,即時抗告の提起期間は,同決定の謄本が弁護人に送達された日から進行する
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