「振り込め詐欺」で,110番や119番,家族の電話番号を発信者番号として表示させる偽装行為が増えている。そのため,事業者は急きょ対策を講じた。しかし,完全に防ぐのは難しい。そこで今回は,この発信者番号偽装のしくみを見ていく。 発信者番号の偽装対策を講じたのは携帯電話事業者各社。実は,携帯電話あての通話の発信者番号は,つい最近まで簡単に偽装できたのである。 携帯電話事業者は,(1)自網内で発信を受け付けた通話,(2)ほかの事業者からの通話――の両方で発信者番号を表示させる。このうち,(1)の自網内で発信した番号については,端末に割り当てた電話番号を発信者番号として表示させる。偽装の余地はない。 問題になるのは,(2)のほかの事業者からの通話の場合である。通信事業者間のインタフェースは,着信要求と同時に発信者番号を受け取るようになっている。このとき受け取った発信者番号は,チェックしないのが原則