「何らかの決裁を求められて行ったにせよ、そのほとんどを思い出すことができなかった」。25日に公表された東京都の豊洲市場(江東区)への移転を巡る石原慎太郎元知事の回答。職員16万人の巨大組織の元トップは、「担当職員が専門家などと協議した結果を信頼・尊重した」ことを理由に、数千億円規模の事業の決裁を事実上、部下の判断に委ねていたと回答した。【林田七恵、円谷美晶】 石原氏は、多くの質問に「記憶がない」と回答したことを「13年半という在任期間中に決裁した案件数は膨大」と釈明した。豊洲の用地取得を巡る価格交渉や土壌汚染対策を巡っては「判断を求められたことがなかった」「このような専門的な問題は、私に専門的な知見や判断能力がない」などとし、担当職員らに決定権を預けていた実情を明かした。