東京・明治神宮外苑にある国立競技場に隣接した都営霞ヶ丘アパートは、10棟の都営住宅。1964年の東京オリンピック開発の一環として建設され、東京2020オリンピックに伴う再開発により2016年から2017年にかけて取り壊された。住民の平均年齢は65歳以上で、パートナーに先立たれ単身で暮らす人や身体障害を持つ人などさまざま。団地内には小さな商店があり、脚の悪い住民の部屋まで食料を届けるなど、何十年ものあいだ助け合ってきたが、2012年7月、東京都から一方的な移転の通達が来た。 2014年から2017年にかけて霞ヶ丘アパートの人々を追った本作には、五輪ファーストの政策によって奪われた住民たちのつつましい生活や、団地というコミュニティのありさまが収められている。また、移転住民の有志による都や五輪担当大臣への要望書提出、記者会見の様子も記録された。監督・撮影・編集を担当したのは、本作で劇場映画監督デ