【ベルリン篠田航一】日本政府が「30年代に原発稼働ゼロ」を目指すとした決定を受け、既に22年までの脱原発を決めているドイツの政府報道官は14日、記者会見で「互いの経験を話し合ったり、助言するなど、支援できる多くの分野がある」と述べ、ドイツ政府が日本に協力する用意があるとの認識を示した。一方で報道官は脱原発について「とにかくハードルの高い課題だ」とも述べた。 ドイツは02年のシュレーダー政権時代に「20年ごろまでの脱原発」を法制化。だがメルケル現政権は10年、再生可能エネルギーの普及が進まないことなどを理由に原発延長を決めた。その後、昨年の福島第1原発の事故を受け、22年までに国内17基の原発を順次停止する早期脱原発に再び回帰した。
大阪維新の会(代表=橋下徹・大阪市長)が次期衆院選に向けて策定中の「維新八策」に、生活保護の受給期間を制限する「有期保護制度」を盛り込む方針であることが分かった。受給者の急増による財政負担の軽減を図るとともに、維新が理念として掲げる「個人の自立」を促す狙いがある。23日から始まる「維新政治塾」の第2クールでの議論・成案化を目指す。 生活保護の有期化を巡っては、全国知事会などが設置した検討会が06年、働ける世代の人の受給期間を「最大5年」とするよう国に提言した。しかし、「本当に必要な人が受給できなくなる」「貧困問題の解決にはならない」といった批判が根強く、政府などで具体的な検討は進んでいない。 有期保護制度の狙いについて、維新の関係者は「働かない受給者の中には『生活保護を受けている方がいい』という人もいるのではないか。自立することが必要だ」と話す。ただ、八策には具体的な受給期間は明示しないと
家庭向け電気料金の平均10%超の値上げを枝野幸男経済産業相に申請している東京電力が、社員の今冬の賞与(ボーナス)147億円分を料金値上げの原価となる人件費に計上していることが28日分かった。福島第1原発事故の処理と賠償で財務内容が悪化し、国から1兆円規模の公的資金投入を受ける東電は今夏のボーナス支給は見送ったが、冬のボーナスに関しては「未定」としていた。 電気料金値上げの妥当性を審査している経産省の有識者会議「電気料金審査専門委員会」(委員長・安念潤司中央大法科大学院教授)は、東電に対し、人件費の一段の削減を通じた値上げ幅圧縮を促したい考え。同専門委は29日に会合を開き、人件費や修繕費などの計上が適正か審査するが、委員からは「公的資金を投入される立場を考慮し人件費を決めるべきだ」との厳しい声も出ており、冬のボーナスの大幅削減を迫られる可能性がある。
「改革への熱い思いが湧いてきた」「人数が多すぎて議論ができない」−−。大阪維新の会(代表=橋下徹・大阪市長)が次期衆院選に向けた候補者養成の場と位置付け、3月下旬に開講した「維新政治塾」には今、受講生の高揚と落胆が入り交じる。社会保障や外交・安全保障など、国政課題を学んでいる約2000人を半数程度に絞り込むまで、予定されている講義は5回。12日には第4回が開かれた。 「橋下改革の神髄に触れることができた」と話すのは大阪府内で介護の仕事に携わる40代男性だ。公務員制度改革などに共鳴し、「自らも大阪を変えたい」と参加した。1時間程度の講義をただ受けるだけでは物足りないと、受講する講師の著書を5、6冊買って予習して臨む。受講生の有志約10人で自主的な勉強会も計画している。「参加者全員が改革に熱い思いを持っている。明るい話題が少ない日本で元気になれる」と意欲を見せる。
昨年3月の東京電力福島第1原発の事故を受け、停止の相次いだ国内の原発がついに全基停止した。事故から約1年2カ月、事故現場では先の見えない処理作業が続き、原発の肩代わりをしている全国の火力発電所では、故障による急停止におびえながら電力安定供給に向けたフル稼働が続いている。 原発ゼロのまま猛暑を迎えた場合、日本列島の電力の頼みの綱は長期間の停止状態から再稼働させた火力発電所だ。しかし、再稼働した火力の多くは運転開始から40年以上過ぎて老朽化しており、現場技術者がだましだまし動かしている。予備の供給力がほぼゼロの現状では、火力が1カ所急停止するだけでも大規模停電の引き金となりかねず、電力供給は薄氷の上にある。 東京湾南西岸にある東京電力横須賀火力発電所(神奈川県横須賀市)。福島第1原発事故を受けて昨年6月、1年3カ月ぶりに再稼働した同火力の敷地内には「立ち入り禁止」の張り紙が随所にある。煙突につ
橋下徹・大阪市長が原発再稼働などで関西電力への厳しい姿勢を示すなか、市の関電への依存度が強まっている。市の施設で使用する電力の入札を実施したところ、昨年度は大手電力会社以外の「特定規模電気事業者」(PPS)が9割近くの施設で落札したのに、今年度は関電が半数近くを落札したからだ。PPSは工場などから余剰電力を購入して自治体や企業に供給しているが、東日本大震災後の原発停止で、余剰電力が不足したことが主な理由。市の担当者も「皮肉な結果だ」と話す。 「新電力」不足で皮肉な結果 市は昨年度、本庁舎や図書館、下水処理施設など63施設で入札を実施。このうち56施設は、PPSの「エネット」(東京都港区)と「エネサーブ」(大津市)が落札。関電はわずか7施設だった。 しかし、今年度はエネサーブが入札参加を見送り。少なくとも46施設のうち、関電の落札は22施設に増え、エネットは24施設にとどまった。 エネットは
原発再稼働をめぐる関係3閣僚との会合を終え、首相官邸を後にする野田佳彦首相(中央)=2012年4月12日、藤井太郎撮影 藤村修官房長官は17日の記者会見で、関西電力大飯原発3、4号機の再稼働を判断する関係閣僚会合をめぐり、事務方が退席した後の政治家のみによる協議について「自由討議であり、記録を残すような話し合いではない」と述べ、議事録を作成していないことを明らかにした。野田佳彦首相が原発の再稼働を「政治判断する」と明言している意思決定の場で、核心の議論を記録に残さない手法には批判が出そうだ。 閣僚会合には首相と藤村氏、枝野幸男経済産業相、細野豪志原発事故担当相の3閣僚のほか、民主党の仙谷由人政調会長代行、斎藤勁官房副長官が出席。藤村氏は、技術的問題などを説明した後に官僚を退席させ、首相ら政治家6人だけで協議する時間を設けていると説明した。 公文書管理法は、政府が重要な意思決定を行った過程を
「あいつは明らかに世の中を憎んでいた。社会的な理不尽や不平等に対する強い怒り。既存の勢力に対する激しい憤り、憎しみ。ものすごく大きなエネルギーを感じた」 兵庫県明石市の泉房穂市長(48)は、第49期司法修習生=1995年研修所入所=の同期、橋下徹・大阪市長(42)の印象をそう語り始めた。 修習生時代、橋下氏と同じラグビー同好会に所属。衆院議員(民主党)を経て昨年5月に市長に就任した。同じ自治体トップとして橋下氏をよく知る人物の一人だ。ラグビーの練習後に聞かされた話を今も覚えている。 「橋下は破れた革ジャンをタダ同然で仕入れて1着3万円とか5万円で売って大学を卒業したと言っていた。『破れたやつを売ったらまずいやろ』と言うと『どこが悪いんですか。気付かずに買うのはお人よしや』と」。あっけらかんとした物言いには、同じように苦学して大学を卒業したこともあり驚いた。 「橋下の大きなエネルギーは確かに
枝野幸男経済産業相との会談を終えて記者会見する西川一誠・福井県知事=福井県庁で2012年4月14日午後6時22分、宮間俊樹撮影 福井県の西川一誠知事は14日、枝野幸男経済産業相との会談後の記者会見で、原発の使用済み燃料について「今後、福井県だけでは対応するわけにはいかないものもある。電力を消費してきた地域にも、痛みを分かち合う分担をお願いしないといけないと思う」と述べ、県内だけでなく関西に中間貯蔵施設を造る必要性があるとの認識を示した。 使用済み燃料は現在、原発の一時貯蔵プールに置かれている。関西電力の場合、原発11基のプールの燃料貯蔵容量は9703体(4420トン)で、既に7割程度が埋まっている。今後も関電だけで処理すると約7年でプールはいっぱいになる計算で、再稼働が実現しても使用済み燃料の処理が課題となる。【安藤大介】
東日本大震災後、東京都民の「水道水離れ」が続いている。昨年4月〜今年2月の11カ月間の総供給量(計13億5381万立方メートル)は前年同期比2.6%減で、料金収入だと98億4200万円のマイナス。ここ10年ほど「おいしい水」のPRに力を入れてきた都水道局は「安心・安全と味の両方を追求してきたのに」とショックを受けている。 水道水離れの最大の要因とみられるのは昨年3月22日、金町浄水場(葛飾区)で乳児の飲料に関する当時の暫定規制値(1キロ当たり100ベクレル)を超える210ベクレルの放射性ヨウ素が検出された騒動だ。 2日後に規制値を下回ったが、同8月に約1000人に実施したアンケートでは、水道水について28%が「不安」と答え、その9割近くが放射性物質の影響を理由に挙げた。 原子力発電所の停止に伴う夏の節電も、需要減に拍車をかけた。空調に使う冷却水の使用などが減り、昨年9月は前年比5.1%減と
食品中の放射性セシウムに対し、4月からより厳しい新基準値(1キロ当たり100ベクレル)が適用されるのを踏まえ、農林水産省は29日、昨年の福島県産米のうち検査で100ベクレルを超えた産地のコメを旧市町村単位で全量買い上げ、廃棄することを決めた。消費者の不安を解消するとともに、農家の経営を支援するのが狙いで、対象は最大3万7000トン、費用は90億円となる見込み。 これまでセシウムの暫定規制値は1キロ当たり500ベクレルで、農水省は昨年の福島県産米については検査で500ベクレルを超えるセシウムが検出された地域を旧市町村単位で出荷停止とし、全域のコメを買い上げていた。100ベクレル超~500ベクレルが出た地域では県が農家に出荷自粛を要請し、農水省が農家単位で買い上げる方針を打ち出していた。 コメに新基準値が適用されるのは収穫期の今年10月からだが、農水省は産地と消費者を共に守るためには、買い上げ
◇「変えたい」「関わりたい」 大阪維新の会(代表・橋下徹大阪市長)が次期衆院選に向けて候補者を養成する「維新政治塾」が24日、開講した。全国から集まった受講生は約2000人。5月下旬から6月上旬をめどに約800~1000人を「塾生」として選抜、街頭演説などを課して次期衆院選の「候補者予備軍」を絞り込む。既成政党離れが加速するなか、どんな人が、どんな思いで政治塾に集まったのか。手探りの候補者選びが始まった。【堀文彦、林由紀子、佐藤丈一、青木純】 初日は堺屋太一・元経済企画庁長官と中田宏・前横浜市長が、非公開で維新の政権公約「維新八策」の大きな柱である「統治機構改革」をテーマに講義。中田氏によると、「大阪都構想」や道州制、首相公選制について説明し、「我々はお茶を濁すような物事の決定の仕方はしない。今の国会議員とは違う質を求めており、本当に覚悟しない限りやめた方がいい」と話した。質疑応答では、競
大阪市の橋下徹市長が昨年12月の就任以降、ブレーンとして民間人から任用している特別顧問・特別参与が計50人に上り、報酬も市長就任前の2倍以上に引き上げられたことが分かった。職員給与は来年度から平均7%カットするが、「(ブレーンは)しかるべき待遇をしないといけない」との理由から、拘束時間の長さによって日額2万~5万円台を支給。顧問・参与は政策決定過程に深く関与しており、重用ぶりが際立っている。 市政策企画室によると、09年に作成した要綱では特別顧問の謝礼は日額2万4500円だった。昨年12月に大阪府の当時の水準に合わせて改定し、拘束時間によって日額2万2000~3万3000円にした。更に今年2月、大阪府とともに同2万2000~5万5000円に引き上げた。交通費(実費)、宿泊費(1泊1万900円)も支給される。 会議などの準備にかかった時間も状況に応じて報酬が支払われている。府市統合本部関係で
大阪市交通局が市営バス運転手の給与を4割程度引き下げる削減案をまとめたことについて、橋下徹市長は27日、報道陣に対し、「今までの給料が異常だった。赤字で税金を投入している状況で、ゼロになってもおかしくない」と述べ、了承する考えを示した。一方、バス運転手の生活面への影響を考慮し、削減額の一部を地下鉄運転士ら交通局の職員全体で肩代わりするという提案が交通局からあれば、受け入れる方針も明らかにした。 市交通局によると、バス運転手の平均給与は、在阪の大手私鉄系バス会社の平均より195万円高い739万円。バス事業は28年連続で赤字の状態で、橋下市長が削減を指示し、交通局は4割程度引き下げる案をまとめた。今週中に労働組合に提示する方針。 橋下市長は同日、「交通局が出してくる案よりもっと低い給料でやっている会社もある」と削減水準は変えない姿勢を強調した上で、「(これまでの給料で)ローンを組んだりしてきた
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