TPPに参加すると農業は壊滅すると叫ばれている。しかし、TPPに参加するしないにかかわらず、我が国農業が崩壊しつつあるという認識は共有されつつあるのではないだろうか。農業生産額は1984年の11.7兆円をピークに減少傾向が続き、2007年には8.2兆円とピーク時の約3分の2の水準まで低下した。65歳以上の高齢農業者の比率は1割から6割へ上昇している。 高齢化が進んで人手不足だからという理由で、一時農業が雇用の受け皿として注目を浴びた。しかし、生産額から投入額を差し引いた農業のGDPを就業人口で割れば、農業者1人あたりの平均所得は2006年で年間187万円、一月当たりでは15万5000円に過ぎない。人手不足などではなく、過剰就労している人たちが高齢化しているのが実態である。農業の収益が低いから、農家の跡継ぎも農業をやろうとはしないし、新規就農しようという人も出てこない。高齢化はその結果である