連日さまざまなサイバーセキュリティ犯罪のニュースが報じられる中、いまだに日本のセキュリティレベルは高いとは言えない状況にあります。一方で、企業がサイバーセキュリティ対策を進める上では、人材不足や経営層の意識・関心、コスト、導入による利便性の低下など、さまざまな壁が立ちはだかっています。 そこで今回は、株式会社網屋が主催する「Security BLAZE 2023」より、サイバーセキュリティのエキスパートによる講演をお届けします。本記事では、米金融大手で1億人以上の個人情報が漏えいした事件の背景をひもときながら、問題点とセキュリティ対策のポイントを解説します。 Webセキュリティの第一人者が語る、個人情報流出事件の裏側 徳丸浩氏:ただいまご紹介いただきました、EGセキュアソリューションズの徳丸でございます。本日は「米国金融機関を襲った個人情報大規模流出事件の真相」というテーマでお話をさせてい
ESETは11月22日(現地時間)、「Your voice is my password – the risks of AI-driven voice cloning」において、生成AIにより合成した音声を悪用したソーシャルエンジニアリング攻撃の実験に成功したと伝えた。この実験では、従業員が自社の最高経営責任者(CEO: Chief Executive Officer)になりすまして、財務責任者から自分宛てに送金させることに成功しており、生成AIの危険性について注意喚起している。 Your voice is my password – the risks of AI-driven voice cloning これは事前にCEOの許可を得て行っ実験であり、ここで解説する手法をまねることは犯罪となる可能性があることに注意。この実験と同様の攻撃が今後増加する可能性があると懸念されており、企業や組
「サイバー攻撃でいくら損する?」を試算できる待望のフレームワークが誕生:Cybersecurity Dive The FAIR Instituteはランサムウェアをはじめとした重大なサイバー攻撃に関連するコストを試算し、関係者がより適切にリスクを算定するための基準を作ろうとしている。 米国証券取引委員会(以下、SEC)が定めた義務化によって、提出書類の中でサイバーセキュリティインシデントの開示が頻繁に実施されるようになった(注1)。しかし、これらのインシデントの重大性に関連して、上場企業が被る財産的な損失についてはいまだ疑問が残る。 リスク管理団体であるThe FAIR Instituteが2023年10月20日(現地時間、以下同)に発表した「重大性評価モデル」は、オープンソースのフレームワークである「FAIR Materiality Assessment Model」を活用して、これらの
こんにちは、SCSKの木澤です。 先日、VPCにおける大きなアップデートが発表されました。 Multi-VPC ENI Attachmentsaws.amazon.com EC2から複数のVPCに対してENIを接続できるようになったよ、という話です。 オンプレミスのネットワーク設計経験者であれば、この話を聞いて「管理用VPCが作れるようになったな」と感じることでしょう。 実際私自身もAWS初心者の頃は管理用のネットワークが構成できないことが気になっていました。 ですが、AWSにおいては安易に管理用VPCを設置すべきではないと考えています。 その理由を下にまとめたいと思います。 オンプレミスネットワーク設計のセオリー オンプレミスにおけるネットワーク設計経験が無い方もいらっしゃると思いますので、丁寧に解説したいと思います。 今回は下図のような一般的なWeb3層のシステムのネットワークを設計す
23年3月末から勉強時間をガイドライン類の読み込み&ブログ執筆にあてて7カ月が経ちました。 特に良い区切りでもないのですが、ここらで一度振り返りたいと思います。 なんで読み始めたの? どれだけ何を読んだの? 色々読んでどうだった? 1. 自分の発言に根拠と自信を持てる 2. 未経験の技術テーマでも取り扱いやすくなる 3.トレンドやビッグテーマが分かる おすすめのガイドライン類は? なんで読み始めたの? 今更の自己紹介ですが、私は所属組織の中で3 Line of Defenseにおける2nd Lineにおり、セキュリティの戦略立案、強化施策の推進、あるいは新しい技術を利用する際のルール作りを主に担っています。 プログラム開発、サーバ、ネットワーク、クラウド、API、コンテナ、AI、様々な技術テーマがある中で、そのすべてにセキュリティは強く関わります。そして、セキュリティ担当は、現場から上記の
1. CISSPとは CISSP(Certified Information Systems Security Professional)とは、ISC2(International Information Systems Security Certification Consortium)が認定を行っている国際的に認められた情報セキュリティ・プロフェッショナル認定資格です。 Novell、Deloitte Touche Tohmatsu、大手ヘルスケアサービス企業その他主要企業において、CISSP認定資格の取得が情報セキュリティ関連業務従事者の必須事項とされています。 2004年6月には、米国規格協会(ANSI)よりISO/IEC17024の認証を受け、資格制度の全てのプラクティスがグローバルに認められ、 認定資格試験としての信頼度がより高くなりました。 CISSP認定資格は、情報セキュリ
Abuse-reportとは? Abuse-reportという通知は、EC2インスタンスを侵害された場合に、AWSから通知されるメールの件名となります。 メールには、なぜAbuse-reportが送付されたかの理由が英文で書かれております。 過去にあったケースですと、DDoS攻撃に加担した挙動や、ポートスキャンを実施したのを確認した場合に送付されることが多いようです。 ちなみに、Abuse-report内に該当のインスタンスIDが記載されています。 受信したらどうしたら良いか? EC2インスタンスが侵害されているので、速やかにセキュリティグループなどで通信を遮断してください。 その後、原因調査をしてください。主な原因は後述するので、それらが該当するかをまず確認すると良いでしょう。 原因調査後、インスタンスの安全が確認できない場合は、AMIを含めてインスタンスを削除した方が良いです。(バック
SRE NEXT 2023 のスポンサーセッション (20min) で使用したスライドです。 --- 概要: システムやソフトウェアの信頼性(Reliability)とセキュリティは多くの共通項を持つ概念です。本セッションでは、信頼性に主な関心を置いた技術体系であるSREを、セキュリティリスクの健全な管理のための技術体系として活用する方法を考察します。具体的にはSLO/SLI/エラーバジェット的発想に基づくセキュリティリスク管理や、セキュリティに関するソフトウェアエンジニアリング技法について、具体的な事例も交えながら論じます。 セキュリティ領域は技芸(Art)的解決が必要な課題領域も未だ多く、Engineering的体系は進化の途上にあります。SREというプラクティスを土台としてセキュリティ課題の解決を検討することは、SREに慣れ親しんだ(あるいは興味を持った)技術者の集まる本カンファレン
こんにちは、セキュリティ猫です。 久しぶりに(ホントに久しぶりに)何かを書きたい欲が出てきたので、自分でも使い方の整理・機能の確認の意味を込めてツールの使い方を扱うことにしました。 今回は、調査で便利なツール「GreyNoise」について紹介していこうと思います。 GreyNoise はじめに 【注意事項】 GreyNoiseとは? 機能 IPルックアップ GREYNOISEクエリ言語 (GNQL) タグトレンド その他の機能 主な使い方 まとめ はじめに 【注意事項】 本記事内で、GreyNoiseの使い方や調査方法について記載しています。本内容は脅威から守るために利用しているものであり、決して悪用することはしないでください。 GreyNoiseを利用することで外部組織の情報を得ることができます。しかしながら、ここで得られた情報をもとにアクセスは行わないでください。アクセスを行う場合は自
熱狂の卒業イベントから半年、みんな大好き元AWSの亀田治伸さんがCloudflareのエバンジェリストとして戻ってきた。久しぶりのインタビューは、転職した経緯やCloudflareのサービスや設計思想、ゼロトラストの定義、コミュニティの話まで多岐に及んだ。(インタビュアー ASCII編集部 大谷イビサ 以下、敬称略) ラストワンマイルの課題って意外と解消されていない 大谷:まずは改めてAWSからCloudflareに転職した経緯を教えてください。 亀田:AWSに7年半いて、後半5年はエバンジェリストをやらせてもらいました。クラウドは世の中を大きく変え、これから必須の存在になると私は確信しています。一方で、クラウドに面白さを感じていた人たちがそれなりにシニアになり、イビサさんが先日書いていたようにある程度のイノベーションは出尽くしてきたのも事実です。 こういう時代になり、AWSでも、Goog
pictBLandとpictSQUAREに対する不正アクセスがあり、パスワードがソルトなしのMD5ハッシュで保存されていたことが話題になっています。 2023年8月16日に外部のフォーラムにpictSQUAREより窃取した情報と主張するデータ販売の取引を持ち掛ける投稿が行われた(中略)パスワードはMD5によるハッシュ化は行われているもののソルト付与は行われていなかったため、単純なパスワードが使用されていた29万4512件は元の文字列が判明していると投稿。(それ以外の26万8172件はまだMD5ハッシュ化されたままと説明。) 不正アクセスによるpictBLand、pictSQUAREの情報流出の可能性についてまとめてみた - piyolog より引用 これに関連してMD5ハッシュやソルトに関するツイート(post)を観察したところ、どうもソルトの理解が間違っている方が多いような気がしました。
7/14/20232023年7月14日よりTBS金曜ドラマ『トリリオンゲーム』の放送が始まりました。弊社エンジニアチームは、1話のハッキングシーン作成にIT・セキュリティ技術協力として携っています。本記事では、その背景と詳細を解説します。 『トリリオンゲーム』は起業家とエンジニアの成長物語で、原作からドラマに至るまで、Flatt Security様による的確な技術監修がなされています。このたび弊社は、原作と台本のシナリオに基づいて、 現実的に可能なハッキングシナリオの具体化 詳細が設定されていなかったプログラムの作成 実際のプログラム・コマンドに合わせたセリフ・演技指導 セキュリティチャンピオンシップのルール設定、画面作成支援 を行いました。 金曜ドラマ『トリリオンゲーム』|TBSテレビ 以降、作成した資料や作成の舞台裏をピックアップして紹介します。 ■ 免責事項 本記事は、ドラマ中の技術
セキュリティチェックシートって大変ですよね 「契約締結目前で、今日もらったチェックシートを3日後までに出せば決まりです!」 「これNGだと契約できないんですけどなんとかならないですか?」 「(書いてもらったシートをレビュー中)え!?これOKじゃなくてNGですよ!?」 「書き始めたら8時間以上かかってるんですけどこれ無償対応なんですか・・・?」 っていうことありませんか!?ない!?良かったですね!!(血涙) ということで、結構セキュリティチェックシートで苦労しています。 過去にISMS認証を取得したときには「これでちょっとは楽になるな!よかった!」と思ったもんですが、 大きく楽になった感じはありません。 といっても、セキュリティチェックシートは次々来るので、なんとなく悟りが開けてきました。 ということで、道半ばではありますが、 そもそもセキュリティチェックシートってなんだっけ? なんで苦労し
本ブログをご覧の皆様、弊社についてどのような印象をお持ちでしょうか?「謎のハッカー集団」「なんか凄そう」「やばいことやってそう」...etc.おそらくこんな風に思ってらっしゃるのではないでしょうか。今回はそんな風に思われがちな弊社エンジニアに「セキュリティ初心者🔰や新人さんにオススメな本・サイト」を聞いてみました! 導入 技術統括部の鶴亀です。内容に入る前に突然ですが、皆さん己の中に「コッテコテな関西弁を喋るおっちゃんかおばちゃん」を宿しましょう。...ちょっとずーつ、ちょとず~つ関西弁が聞こえてきますでしょう?「そんな無茶な!」や「豚まん食べたい」が関西弁で聞こえるようになったなら、早速次へ進みましょうか。 本ブログ記事制作のきっかけですが、「新年度なったし新人さん向けにお勧めの本まとめたら反響あるんちゃう?とりあえず聞いてみよ~」と社内で呟いた事です。結果として、「ええんちゃう?ほな
ゴールデンウィークのはじめ(4月29日)に投稿された以下のツイートですが、5月7日20時において、1,938.8万件の表示ということで、非常に注目されていることが分かります。 我が名はアシタカ!スタバのFreeWi-Fiを使いながら会社の機密情報を扱う仕事をしてたら全部抜かれた。どうすればよい! pic.twitter.com/e26L1Bj32Z — スタバでMacを開くエンジニア (@MacopeninSUTABA) April 29, 2023 これに対して、私は以下のようにツイートしましたが、 これ入社試験の問題にしようかな。『スタバのFreeWi-Fiを使いながら会社の機密情報を扱う仕事をしてたら全部抜かれた』と言う事象に至る現実的にありえる脅威を説明せよ。結構難しいと思いますよ。 https://t.co/LH21zphCTV — 徳丸 浩 (@ockeghem) April
「全く身に覚えのない家宅捜索に入られた」ここ数年、そんな話をよく聞くようになりました。その多くがサイバー犯罪で疑われるケースです。 ネットで世界中が繋がった結果、遠く離れた赤の他人と、何らかの情報が紐付くことが起こり得るようになりました。 その中には当然犯罪者も含まれており、運悪く紐付いたために警察に疑われてしまう人がいるようです。 ネットの普及により、一般市民がとばっちりで警察に目を付けられるリスクは以前にも増して高まっています。 なぜ家宅捜索に入られたのかサイバー警察に誤って家宅捜索された人たちの記事をいくつかご紹介します。 在宅エンジニアが疑われた フリーランスのエンジニアが仕事で不正サイトを調査したところ、アクセス履歴から犯人と間違われた事件です。 真犯人がVPNで身元を隠していたためか、生IPでアクセスした彼が警察に疑われてしまったようです。おそらく警察は、真犯人がヘマして生IP
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