愛媛県人にとって、タルトとは黒くて渦巻き状の紋様を見せるロールケーキに似た菓子のことを指す。 もしあなたが愛媛県人に「タルトの絵を描け」と命じたら、間違いなくそのような物体が描かれるはずだ。 であれば、クッキー風の記事にクリームのフィリングを詰めフルーツや飾りクリームを乗せたあの菓子は愛媛県人の中でどう処理されるのだろうか。 その解は、「そもそも知らない」である。 そう、愛媛県人は、西洋菓子の、いわゆる「タルト」を知らない。 二十代以下であれば八割ほどは知っている。外界への興味が強いからだ。 しかし三十代以上となるととたんに「一般的なタルト」の知名度が下がる。 六十代以上ともなると、「タルト=断面図が渦巻き状の巻物」で概念が固定される。一般的なタルトについて教え込んでも一週間もすれば記憶から消される。タルトは、渦巻きである。 その、愛媛のタルトとはなにか。 そもそもなんなのか。 愛媛のタル
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