正男氏の実像は、世間の抱いていたイメージとはだいぶ違うようだ。 「彼は父親が絶対的権力を振るう北朝鮮で、国家のあり方に疑問を投げかけ、経済の改革・開放を父親に進言してきた唯一の人物なのです」(五味氏) 海外留学経験を通じて少年時代から西側諸国を目にしてきた正男氏は、英語、ロシア語、フランス語に堪能で、片言の日本語も操れる。そして基本的に人なつっこい人柄だという。 「放蕩息子のように見えるのは、周囲の警戒を解くために演技している部分があるからだと私は思います」 これが五味氏の見立てだ。正男氏の“人間味”が感じられるエピソードを拾ってみよう。 09年、雑誌「SPA!」(7月14日号)が、「金正男 日本国内で人気爆発の秘密」と題して、ファッションセンスについて分析したり、各界の隠れファン著名人が激励コメントを寄せるギャグ企画記事を掲載した際には、 「後日、マカオで会った時に現物を持って行ったら、