派遣の女の子に泣かれた。学生よりもスーツが多めの飲み屋で。 わんわんと泣かれた。 彼女は、面談が始まった瞬間に分かるほど、真面目で素直な子だった。 それは、自分の不得意な部分さえ素直に話してしまい 付き添いの仲介業者が慌ててフォローするほどだった。 この業界では、そういった類の真面目さは、癌にしかならない。 経歴をみると、癌は既に進行していた。 年齢からしたらあと数年しか持たない。 簡単な研修を受け、投げ込まれたプログラマという業界。 それが彼女の経歴書の最初の1行だ。 経歴書の行は何度も繰り返されるのに、プログラマという役割は変わらない。 それどころか、あかさまに古い案件に投げ込まれていた。 直近の案件の中には、ただの雑用のような仕事を1年程こなしている。 何も変わらない、繰り返し。彼女はそれを経歴だと信じた。 人の言葉を素直にきいて、言われたことを素直に繰り返す。 そうした先に未来があ