人工知能に深く考えさせるには、手抜きが必要です。もっといえば、「どうでもいいこと」を人工知能に考えさせないことです。 前回は、将棋プログラムの先読みを盤面の全探索で行うアルゴリズムを説明しました。今回は全探索でなく、不要な探索を途中で打ち切る方法を見ていきます。これはゲーム木の探索を途中で打ち切り、ゲーム木の枝を刈ることになるので、「枝刈り」と呼ばれています。 評価関数と先読み、枝刈りの適用範囲は広い 探索の枝刈りを説明する前に、将棋の思考プログラムの全体像をおさらいしましょう。盤面の評価関数、評価関数を使った先読み、そして今回見ていく枝刈りなどのゲーム理論を、人工知能のどこに、どのように適用するかをもう一度見ていきます。 評価関数、先読み、枝刈りといったゲーム理論の技術は、とても適用範囲の広い技術です。もちろん、囲碁やリバーシなど、将棋と同じ「二人零和有限確定完全情報ゲーム」に適用できま
