先ごろ、平凡社からローリー・グルーエンの編著『アニマル・スタディーズ 29の基本概念』が出版された。海外に比べて非常に遅まきではあったが、ようやく日本でも動物倫理や動物研究の関連書が増えてきたため、そろそろこの分野の基本用語を整理・解説した事典的なものが出版されたらよい時期でもあった。そんな矢先に本訳書(以下、本書)が登場した。私もこの原書を数年前に入手して以来、折に触れ参照している。寄稿者の顔ぶれもよく、論考の内容も(やや不満なものはあるが)総じて水準が高く、日本で知られていない文献も多数紹介されているので、邦訳されるにふさわしい一冊であったことは間違いない。また、このように複数の執筆者が手掛けた大部の論集ないしアンソロジーは、在野の人間である私の力では翻訳をしようにも出版企画を通すのが難しいので(それができるなら翻訳したい文献はいくらでもある)、その意味からしても本書が邦訳されたことに
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