旧優生保護法下で強制不妊手術を受けた宮城県の60代女性が30日、国に補償を求める全国初の訴訟を起こす。本人の同意のない手術により全国で約1万6500人、宮城県で約1400人が子を持つ人生を一方的に奪われた。母体保護法への改定後、障害を理由に手術を強いられた人もいる。偏見への恐怖で、これまで声を上げられなかった東北の被害者の実態から、今なお残る優生思想の陰を探る。(報道部・畠山嵩) ◎強制的で人権を無視 「お姉さん、何運んでいくー」。宮城県内の自宅で昼食の支度をしながら、佐藤由美さん=60代、仮名=が同居の義姉路子(みちこ)さん=同=に元気良く声を掛ける。「お茶わん頼むね」と路子さん。実の姉妹のように仲の良い2人は、国と闘う同志でもある。 由美さんは、1歳で受けた口蓋裂(こうがいれつ)手術の麻酔が原因とみられる重度の知的障害があり、込み入った会話は難しい。30日、旧優生保護法による不妊手術の