米中関係は表向き緊張していても、裏側では密な接触が続けられている。対照的に日本は中国と、そうした「大人の外交」ができていない。石破政権の誕生で、その差は埋まるのか。元朝日新聞政治部長の薬師寺克行氏が解説する。 独自の国家観や世界観を振りかざし、協調的な姿勢を見せない中国とどう付き合うか──。中国との外交は、西側の主要国にとって最重要課題のひとつとなっている。 なかでも日米両国は、対中関係で深刻な懸案を数多く抱えている。だが、中国との向き合い方は正反対だ。 裏で接触し続ける米中外交 米国では議会や国民のあいだで反中ムードが高まり、トランプ政権時代に長年の「エンゲージメント(関与)政策」から、対立や競争を前面に出す強硬策に大きく転換した。 中国からの輸入品に対してトランプ政権が課した高率の追加関税は、バイデン政権でも引き継がれ、新たに先端半導体技術の対中輸出禁止措置も実施された。だからといって