【ワシントン=渡辺浩生】厳しい販売不振が続く米自動車市場で、韓国メーカーの現代自動車が新車販売で躍進を遂げている。「もし失業したら、ローンで購入した自動車をコストなしで返却できる」という新制度が、先行きにリストラなどの生活不安を抱える顧客層をとらえたためだ。 1月の米新車販売台数は前年同期比37・1%減と27年ぶりの低水準に落ち込んだ。ゼネラル・モーターズ(GM)などビッグスリーは4~5割減で、トヨタ自動車も31・7%減となるなど日米6社が軒並み深刻な販売不振に直面している。その中で現代は14・3%増となり、伸び率で断トツの一位となった。台数では日産自動車に続く7位だが、小型トラックを除く乗用車では、すでにビッグスリーの一角であるクライスラーを抜いている。 現代は低価格が定評だが、米市場での知名度は今ひとつだった。それが、ここにきて飛躍を遂げた秘密は、米国初の自動車返却プログラムの導入だ。