普通なら起こらないようなミスが、ふたつも起きた。 犯したのは、経験の浅い若手選手ではなく、酸いも甘いも噛み分けたふたりのベテラン選手だった。 ガンバ大阪の今野泰幸と、サンフレッチェ広島の森崎和幸。「天国から地獄」に突き落とされたのが前者で、「地獄から天国」に駆け上がったのが後者。 国内屈指のボランチである彼らでさえ痛恨のミスを犯してしまう――。それは、11年ぶりの開催となったチャンピオンシップ決勝という大舞台の独特の雰囲気、プレッシャーによるものだったのかもしれない。 G大阪のホームで行なわれたJリーグ・チャンピオンシップ決勝第1戦。 2-1とG大阪のリードで突入した後半のアディショナルタイム、青山敏弘のクロスに佐々木翔が頭で合わせ、土壇場で追いついた広島は、なおも攻勢に出た。 90+5分、G大阪陣内でボールが広島の選手に当たって右サイドのタッチラインを割ると、今野がボールを素早くピッチに