”美しいものが私のまぶたをそっとなぜると それで私は 泣きたい気持ちにゆっくりと溢れていく” 雁須磨子 『いばら・ら・ららばい』Scene 6より * 「風立ちぬ」を観てきました。 手をつなぐこと。キスをすること。抱き合うこと。「好きだよ」と言うこと。 そういう平凡な愛のしぐさを、宮崎氏がふつうに、率直に、けれどあんなにも愛おしく描いたことにまず驚きました。 きれいな映画でした。 嫌なことをする人はいない。ずるくて恐い敵もいない。 ただただ、ひたむきで美しい心を持った人たちの、美しい生き様が描かれている。 わたしは、どちらかといえば毒のある作品が好きなほうです。 きれいなものばかりじゃなくて、辛さや、醜さや、それに抗う苦労やらを描いてないとつまんないじゃん、薄っぺらいじゃんと思ってました。(「おおかみこども」を観たときは、「良い部分ばかり描きすぎ!キレイすぎ!」とか言っていた) でも、この