E-Bookで自国語を表示するというだけの話に、これほど出版界の関心が集まる国はない。専用端末に時間をかけすぎたXMDFにも、なかなか日本語実装が出ないePUBにも失望しているのは筆者だけではないだろう。おかげでこの「元年」は、話題だけが盛り上がって終わった。考えてみれば、日本語の迷宮は日本人にとっての鬼門だった。ここを越えないと21世紀は来ないということだろう。メーカーにとっても、出版社にとっても。それが分かっただけでも、この「幻の元年」は無駄ではなかったのかもしれない。 「潮目が変わった」 11月22日、ePUB日本語拡張仕様セミナーが約500名の参加を得て開催された。ePUBへの日本語拡張の仕様化作業に関心が集まって1年足らずだが、講演者の一人が「潮目が変わったようだ」と後で感想を漏らしたように、たしかに変わった印象を受けた。それは総務省の松田統括補佐が挨拶を述べたことにも象徴される