暴力の予兆表現とおおかみこどもの雨と雪 - 指輪世界の第五日記

「おおかみこどもはさ、雪斜面の疾駆のような躍動的なシーンが素晴らしかったのもあるし、あと、暴力の予兆表現が本当に、実に素晴らしかった」 「ふうん？」 「以前、伊藤計劃さんが、スピルバーグの宇宙戦争のキャッチボールシーンはすごい、って書いていたけれど、http://d.hatena.ne.jp/Projectitoh/20050701」 「なにこれ読めばいいの」 「読んだほうがいい」 「伊藤計劃さんは苦手なんだよなー 話したでしょ？ 神林長平先生が取り上げてたから虐殺器官とハーモニーを読んだんだけど、環境に対する主人公の主体性が、まさに…」 「読んだ」 「暴力行為そのものというよりも、それへの徴候、予兆をはらんだ状況を描くことが大事だと僕は思う。たとえばサウダーヂはそこがよかった。主人公の土方労働シーンでの肉体や重機の物理的な力の描写が強力で、そのへんからくる映画全体に常に伏流した暴力の予感

[nabesems]

基本家族賛歌な映画なのに、喧嘩のあと仲直りをするシーンが無いのも素晴らしいと思う。その後の二人の「距離感」の演出もいい。

[mamezou_plus2]

あれは姉弟の通過儀式だけど…。あれで雨は人間側に戻る機会を失った。狼人間を背負うしかない。雪の血筋は残るかもしれないけど、雨の血筋は残らないかも。雨が女口説けると思えないし。

[dekaino]

役所がよそ者の移住を支援する過疎の寒村、つまり後継ぎ息子対象のお見合いパーティも役所主導でやってそうな村に、花が大人の男手がない一軒家に住むあたり、性暴力の予兆をありありと感じさせる表現 (非ネタバレ)

[jintrick]

緑色の悪魔

[Cru]

なるほど。アニメーション表現（とそれを裏付ける技術）は頭ひとつ飛び抜けてるよなぁ、あれ。

[samoku]

確かに震える雪の背中で今後の不安を掻き立てる描写は良かった。雨の話は異界の血を引く者が人に馴染めぬうちに山に魅入られて幽世に渡るという純然たる伝奇ものだったなあ。ご丁寧に一度死ぬし。

[maturi]

　物語を駆動する「予感」について

[nagaichi]

批評の視点ってのも、いろいろあるもんだ。

[moondriver]

"たんに敵、エネミーと捉えられるものより、共有するものが互いのうちにあり協力もしうる敵、ブラザー・エネミーのほうが面白いわけですよ"

[p_shirokuma]

「もう出て行くしかないでしょう」。出て行くしかなかった。／最後の喩えが面白い。

[narukami]

ネタバレ。「もう出ていくしかないでしょうあれは。」

[fumix-hat]

暴力表現について切り取って。サウダーヂにも言及。