以前、Schmitt-Grohe and Uribe(2009)の枠組みを基に、名目金利がゼロ金利下限に達する頻度が(論文の意図とは裏腹に)15年に一度と結構高いものになる可能性を示したことがあったが、デロングがシミュレーションでその確率をより厳密に計算している。彼がシミュレーションのベースにしたのはローレンス・ボールの1997年の論文のモデルで*1、それにゼロ金利下限を導入した以下の一連の式を用いている。 ここで第一式はIS曲線(ないし誘導形のオイラー方程式)、第二式はフィリップス曲線である。rは実質政策金利、r*は経済のヴィクセル的な中立金利、yはインフレが加減速しない潜在生産水準からの生産の乖離、π - π*は中銀のインフレ目標からのインフレの乖離である。デロングはπ* = 2%、r* = 1%に設定している。パラメータについてデロングは、λ = 0.8、β = 1、α = 0.4、