ブックマーク / syukan-anko.hatenablog.jp (119)

  • ′19「豆大福の頂点」を食べる - 週刊あんこ

    「東京三大豆大福」という言葉が独り歩きして久しい。 護国寺・群林堂、原宿・瑞穂、泉岳寺・松島屋を指すようだ。 評価の高い京都・出町ふたばは京都なので、別格らしい。 だが、と言いたい。 この三つはそれぞれに特色があり、確かに絶品だとは思う。それを押さえつつ、私はここに南青山の「和菓子 まめ」を加えたい誘惑にかられる。小さな、モダンな和菓子屋さん。 絶品という言葉はここの豆大福にこそ冠したい。 歴史は15年ほど、とさほどあるとは言えないが、女性店主の和菓子職人としてのキャリアが少々変わっている。 和菓子学校で技術を学ぶのが普通の和菓子職人のコースだが、彼女はすべて独学で、あんこ好きが高じて、最初は静岡・三島であんこカフェを開き、それが評判を呼び、やがて東京に進出、2008年には南青山に「和菓子 まめ」の暖簾を下げた。 独学というのが驚き。 天賦の才能と研究熱心が隠し味になっているに違いない。で

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    maxa55 2019/01/03
  • 「湯島スイートロード」の至福 - 週刊あんこ

    東京・上野御徒町から湯島にかけてはいい甘味処、和菓子屋さんが多い。 湯島スイートロード。私流の言い方だと、「あんこのGスポット」。 この場合のGはグレイト、と思ってほしい。 私の好きな渋くていい店が「おいで」と暖簾を下げている。 みつばち、つる瀬、壺屋総店・・・少しエリアを広げると、うさぎや、みはし上野店も入る。上野岡埜栄泉が麻布十番に移転してしまったが、江戸・明治・大正・昭和初期創業のあんこの老舗がこれだけ集まっているのは、多分、東京ではここくらいだろう。日橋よりも敷居が低い。 なかでも長年、甘味処と和菓子屋の二つを格的に続けているのは「御菓子司 つる瀬」だけ、と思う。ゆえに「あんこ界の二刀流」と呼ばせていただきたい。創業は昭和5年(1926年)と比較的新しい。現在3代目。 店頭で買って、中の甘味処でべる。どこかの店のように値段が高くなることもない。お茶までサービスしてくれるの

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    maxa55 2018/12/28
  • 天空の隠れ家「青山紅谷」の二品 - 週刊あんこ

    「御菓子司 紅谷(べにや)」の名前はディープな和菓子好きの間では知らない人はいない・・・はず(と断言してしまおう)。 南青山のビルの最上階に小さく暖簾を下げている。 いつかは行きたい店の最上位のどこかにランクされる、隠れ家のような名店だと思う。 一年ほど前、あんこ好きの仲間が集まった飲み会で、あーだこーだと好きな店を挙げ、熱い論争になった。大手メディアの女性記者が「東京ではやっぱり青山の紅谷ね。上生菓子のレベルがワンランク違う」と締めくくった。 その青山紅谷で、「豆大福」(税込み 1個183円)と「あゆ焼」(同270円)を何とかゲットした。人気の「ミニどら(ミニどら焼き)」は売り切れていた。 これがうわさ通りの優れものだった。 まずは「あゆ焼」。ご覧の通りのきれいな焼き色。遊び心が表面に刻印されていた。よく見るとトナカイ、サンタさん、雪の結晶。クリスマスとお正月が季節感を演出していて、心が

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    maxa55 2018/12/20
  • こしと粒の合体「松本の老松」 - 週刊あんこ

    こしあん×粒あんの切ない恋愛=老松(おいまつ)。 そんなジョークを言いたくなる、あんこの和菓子と信州・松市で出会った。 御菓子司「開運堂」の開運老松(かいうんおいまつ)である。1税込み1101円。大きいので思ったほどは高くはない。 まずはそのしぶ~いお姿を見てほしい。 ロールケーキのように楕円形の長い、淡いこしあん色のスポンジ(?)。表面には老いた松の表皮ような、ひび割れがいくつか走っている。よく見ると、松の実が点々と埋まっている。 この凝り具合に和菓子職人の腕と暖簾の歴史が垣間見える。 中はどうなっているんだろう? 包丁で切ると、中心部には濃い小倉色の粒あんが詰まっていた。 試すると、外側はスポンジだと思っていたが、違っていた。繊細な舌触りで、軽やかにいずこかへとスーッと溶けていく。和三盆のようなきれいな甘み。老松というより羽衣みたい。 中のつぶあんは濃厚で、二つが口の中で交じり合

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    maxa55 2018/12/14
  • 「おまん」のミラクル、玉英堂「玉万」 - 週刊あんこ

    京都で「おまんやさん」と言えば、饅頭(まんじゅう)などを売っている町の和菓子屋さんのこと。愛すべき下々の世界。上菓子屋とは一線を画している。 私が大好きな世界だが、この饅頭にもヒエラルキー(階級)がある。その最高峰(エベレスト級?)に位置する饅頭をとうとう買ってしまった。今回はおまんやさんではなく、上生菓子屋の饅頭、である。ま、たまにはいいかという気分。 見た目は大きな白い饅頭だが、二つに切ると、ちょっと驚かされる。 それがこれ。 東京・人形町「玉英堂彦九郎(ぎょくえいどうひこくろう)」の「玉饅(ぎょくまん)」である。五色饅頭、と言ったほうがわかりやすいかもしれない。 1個がなんと680円(税込み)。値段もたけ~。 なので、これを買うには財布と相談する必要がある。ここは創業がなんと(今日はなんと、が多い)天正4年(1576年)、京都三条大橋のたもとで店を始めたという。織田信長が安土城を築城

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    maxa55 2018/12/06
  • 常陸太田の奇跡「笹だんご」 - 週刊あんこ

    和菓子好きの知人から面白い情報が入った。 新潟の笹だんごそっくりの菓子が茨城にある、というのである。 しかも由来があの水戸黄門(徳川光圀)にまでさかのぼる、という。 かつては十軒以上が地元の名物として作っていたが、今では一軒だけ。それも元祖の店だという。 まさか? 正直に告白すると、私も知らなかった。 それがこれ。見た目は新潟の笹だんごそのもの。 歴史のある、古い蔵や町家が今でも残る鯨ケ丘(くじらがおか)通りにその店「元祖 なべや」があった。 店のたたずまいに胸がときめいた。 ここでは「笹だんご」とは呼ばず、「粽(ちまき)」と表記してあった。 1個130円(税別)。実直そうな4代目と雑談しながら、5個つながり(同650円)を買い求めた。外観はどう見ても笹だんご。 その9時間後、自宅に帰ってから夜8時過ぎの遅い賞味となった。賞味期限が「日中です」と言われたからである。むろん添加物などは使

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    maxa55 2018/11/30
  • 京都の粋「しぐれ傘」 - 週刊あんこ

    京都の畏友が持ってきてくれた手土産は面白いものだった。 メディア仲間の懇親会でのこと。 いつものように「はい、これ」ポンと手渡すだけ。説明はない。 これが曲者で、京都のすごさと奥の深さを感じさせるものばかり。 家に持ち帰ってから、きれいな包みを開けると、現れたのがこれだった。 で、でっかい(汗)。直径120ミリ、厚さ30ミリは優にある。どっしりと重量感のあるデカさ。 これが、かの京華堂利保(きょうかどうとしやす)の「しぐれ傘」だった。 円盤状のどら焼きのようなカステラ生地の間に煉り羊羹が挟んであった。8人分で税込み1512円。買うには店まで行くしかない、という希少な和菓子でもある。 見事なテカリの羊羹。カステラ生地はふわふわではなく、しっかりと焼かれている。 表面には番傘の線が薄く引いてあり、数えてみたら12分。つまり傘が12分で、上から見ると、傘が開いている形に見える。黒文字が8

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    maxa55 2018/11/23
  • 浅草きんつば界「西の横綱」 - 週刊あんこ

    東京・浅草はきんつばの聖地だと思う。 何といっても、私が大好きな「徳太楼(とくたろう)」がいぶし銀に光っているし、合羽橋には「江戸昔菓子」の「梅源(うめげん)」がある。どら焼きの「亀十(かめじゅう)」などもまずまず美味い。あの大行列はいただけないが。 先週、文化の日(11月3日)のこと。敬愛する「あんこラボ」の皆さんと浅草あんこ菓子巡りを楽しんだ。10人で江戸・明治の老舗和菓子屋さんをほぼ半日かけて訪ね歩いた。脳内エンドルフィン(幸せホルモン)全開。 10人が10人とも頭に「スーパー」がつくほどのあんこ好き。たまたま「徳太楼」が休みだったので、合羽橋の「梅源」で、きんつばを買い求めた。それがこれ。 小さな店構えで、ずい分以前にべただけだったが、改めてべたらやはり高いレベルで美味かった。 「徳太楼」よりも一回りはデカい。 皮が膜のように薄く、手焼き感がとてもいい。中のつぶあんが透けて見え

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    maxa55 2018/11/16
  • 信州「栗の町」の純栗かの子 - 週刊あんこ

    「純栗かの子」はたまらない。 私的には信州・小布施町(おぶせまち)が天国に近い場所。 頭に描いただけでヨダレが出かかる(失礼)。 人口1万人強のちいさな町に栗菓子屋の老舗が5軒ほどある。 桜井甘精堂(さくらいかんせいどう)、小布施堂、竹風堂が有名だが、いずれもいい味わいと独特の風味を作り上げている。 小布施の栗かの子は関東で言うと、おせち料理の栗きんとんに近い。 信州に旅したとき、小布施にも行く予定が、途中で時間を取られ、行けずじまい。仕方なく長野駅構内で桜井甘精堂の「純栗かの子」(270グラム 税込み1296円)を買い求めた。 安くはないが、これが極上の楽しみとなる。 自宅に持ち帰ってから、わくわくしながら缶の蓋を開ける。 グレーがかった純栗かの子が現れる。このあまりに自然な色がたまらない。 地産の蜜煮した大栗(丹波栗系)と栗あんがお見事、と掛け声をかけたくなる。 甘さを抑えた栗あん。蜜

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    maxa55 2018/11/07
  • 日光最古「湯沢屋」の酒饅頭 - 週刊あんこ

    酒種で発酵させた酒饅頭(さかまんじゅう)の歴史は古い。 あまりに古い。 鎌倉時代、南宋に渡った聖一国師(円爾)が中国から伝えたとされる。 気が遠くなる話ではあるが、これが実に美味い。 古くて新しい。物なら、まんじゅう界の頂点だと思う。 私は職人の手の匂いのする東京・荻窪の「高橋の酒まんじゅう」が大好きだが、ここの歴史は戦後で、そう古くはない。 日光「湯沢屋」は創業がなんと文化元年(1804年)。ちょうど砂糖が一般にも流通し始めた時代で、その意味でも湯沢屋の存在は光り輝く。 酒饅頭は当時の製法のまま、7代目の今も手間ひまを惜しまず作り続けている。 日光は羊羹があまりに有名だが、実は酒饅頭の元祖が今もあり続ける場所なのである。 一個140円(税込み)を一包み買い求めて、さらに店先で蒸かし立てを2個たべることにした。 日光でも多分一番古い老舗だが、嫌な顔をしない。さすが饅頭屋さん。 皮のもっち

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    maxa55 2018/11/02
  • 虎ノ門岡埜栄泉の「栗饅頭」 - 週刊あんこ

    このところ栗饅頭(くりまんじゅう)にハマっている。 きっかけは友人の編集者Y君のメール。最近結婚したばかり。ワイン好きの酔っ払いで、スイーツ類とは無縁な無粋な男。それがどうしちゃったの?と心配になる内容だった。 「和菓子は苦手でしたが、先日たまたま虎ノ門岡埜栄泉の栗饅頭をべて、印象が変わりました。めっちゃ美味かった! 女房もボクの反応に驚いています(笑)」 何があったのかは知らないが、常に冷静でウソをつくような男ではないので、妙に気になった。結婚して味覚が変わった? まさか。 で、虎ノ門岡埜栄泉(とらのもんおかのえいせん)に足を運んだ。ここは豆大福の方が有名だが、栗饅頭の評価も高い。近くには栗饅頭の名店「丸万」もある。 一個270円(税込み)なり。上野の「岡埜栄泉総家」や人形町「清寿軒」などの老舗よりも高い。 コスパ的にはどうか? 自分の舌で確かめるのが一番。 紙のパッケージを取ると、

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    maxa55 2018/10/26
  • 浅草あんこ界の隠れ王者 - 週刊あんこ

    あんこ好きにとって、京都が西の横綱なら、東の横綱は浅草だと思う。 上菓子屋より庶民的な菓子屋が多い、というのもちょっとうれしい。 梅園の粟ぜんざい、亀十のどら焼き、徳太樓のきんつば、舟和のあんこ玉、長命寺桜もち、言問団子・・・と指折りきて、つい忘れがちになるのが、向島の「志”満ん草(じまんくさもち)」である。 面白い屋号で、読みづらいが、150年もこの屋号で通しているので、今さら変えられない(多分変える気もない)。 ここの「草」と「ささ」が見た目は地味系だが、飛び切りなのである。 の質はもちろんのこと、個人的な評価では、どちらもあんこの美味さがスカイツリーを超える、かもしれない(気持ちが入り過ぎて、表現がヘンになってしまったが)。 明治2年(1869年)創業。現在4代目。元々は隅田川沿いの茶店で、渡し船のお客を相手に草を出して、それが評判を呼び、現在も小さく白い暖簾を下げている

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    maxa55 2018/10/18
  • 梅ヶ枝餅「あんこ比べ」 - 週刊あんこ

    福岡・太宰府天満宮まで足を延ばした。 目的はむろんのこと、梅ヶ枝(うめがえもち)! 「かさの家」が最も有名だが、あんこマニアとしては、ひまわりではなく月見草を探したい。物は陰に隠れている、と思うからである。 で、地元の情報をかき集めた。その結果、たどり着いたのが「小山田茶店(おやまだちゃてん)」である。 観光客でにぎわう参道ではなく、天満宮殿の裏手。ここまで来ると、観光客は少ない。 「最近は表通りの参道ばかりメディアに取り上げられますが、全然わかってません。『小山田茶店』は梅ヶ枝の元祖みたいなところで、創業が江戸時代までさかのぼります。何せこの店は唯一、太宰府天満宮御用達なんですよ」 福岡の和菓子好き友人がそう耳元でささやいた。 その梅ヶ枝(1個 税込み120円)がこれ。抹茶セットで550円なり。 昔ながらの庶民的な茶店で、その入り口で、ややご高齢の男性職人さんが一丁焼きのたい焼

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    maxa55 2018/10/11
  • 蒸し菓子の到達点?「栗若瀬」 - 週刊あんこ

    京都つながりで、蒸し菓子のちょっとビックリの逸品と出会ってしまった。それがこれ。 これまでべた中で、蒸し菓子の一つの到達点は私の中では萬年堂の上菓子「御目出糖(おめでとう)」だった。それは今でも変わらない。 別名高麗(こうらいもち)。こしあん、かるかん粉(米粉)、粉を混ぜ合わせ、独特のそぼろ状にしてから大納言小豆を載せて蒸し上げた逸品で、そのもっちりした上品な感と口の中で溶けていくきれいな余韻は初めてべたときに、 「こんなあんこ系の蒸し菓子がこの世に存在していたとは・・・」 オーバーではなく言葉を見失いそうになった。江戸時代からの製法のままと知って、さらに驚いた。 さて、ここからが題。 京都の畏友が東京に来た折りに手土産として、大阪の蒸し菓子を持って来てくれた。 いつものように説明はない。ポンと手渡されるだけ。 それが「御菓子司 庵月(あんげつ)」の「栗若瀬(くりわかせ)」だっ

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    maxa55 2018/10/06
  • 饅頭界の奇跡「粟まんじゅう」 - 週刊あんこ

    粟饅頭、ひらがなで書くとあわまんじゅう。 これがほっぺたが落ちるほどうめ~、と知っている人はまだ少ないと思う。 粟(あわ)をもち米と混ぜて皮を作り、手作業でこしあんを包み込む。それを蒸し籠で蒸したものだが、この美味さは私にとっては格別である。 クチナシできれいな黄色に着色しているので、一見美味そうには見えないかもしれない。 だが、手にくっつくほどのモチモチ感と粟(あわ)の粒つぶ感、その中にしっかり収まったこしあんの融合・・・文字通り筆舌に尽くしがたい。 福島・会津地方、柳津町(やないづまち)に伝わるまんじゅうで、江戸後期からこの地方にしか存在ないユニークな饅頭である。 会津若松市内にも店舗がある小池菓子舗が最も有名だが、私の好みは「はせ川屋」のもの。昔ながらの丁寧できれいな作り方が好み。 無添加なので日持ちしない。作りたては柳津町まで行かないとべれない。それが残念。 東北に行った帰り、足

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    maxa55 2018/09/29
  • 8代目が作る驚きの栗菓子 - 週刊あんこ

    「あんこを求めて三千里の旅」で、信州・飯山市に足を延ばした。 「雪国の小京都」とも呼ばれるお寺の多い、人口2万人ほどのちいさな町だが、和菓子屋が多い。 たまたまここに300年の歴史を持つ「御菓子処 京香屋(きょうこや)」の存在を知り、電話してみたところ、店主が出て、「8代目になります」とおっしゃった。「ただ古いだけですよ」とも。 大坂なおみのような、凄腕の和菓子職人のシャイを感じる話しぶりについつい引き込まれてしまった。 「そちらにお伺いしてもよろしいですか?」とお願いすると、しぶしぶ(?)「昔から作っているささはシーズンが終わったので何もありませんよ。それでよかったらどうぞ」。 この地方特有の雁木(がんぎ)づくりの屋根が続く光景は、どこかタイムスリップして、日の原風景に紛れ込んでしまったよう。人通りは少ない。その一角に「御菓子処 京香屋」の看板がかかっていた。小さな和菓子屋。「創業三

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    maxa55 2018/09/21
  • きんつば界のシーラカンス - 週刊あんこ

    東京・日橋というより、江戸・日橋と言った方が正しいと思う。 ここに徳川の時代から暖簾を下げ続けているのが「榮太樓(えいたろう)総店」。 和菓子が好きな人でなくても、名前くらいは聞いたことがあると思う。 ここの金鍔(きんつば)が凄すぎ、である。 ちょんまげが行き交い、魚河岸が日橋にあった頃、屋台で焼かれるきんつばが評判となった。 それがこの「名代金鍔(なだいきんつば)」(税込み 1個216円)のルーツである。 安政4年(1857年)、三代目(幼名・栄太郎)の代になって、現在の場所に小さな店を構えた。屋号もそれまでの「井筒屋」から「榮太樓」に変えている。 同社によると、当時の作り方をほとんど変えていない。溶いた小麦粉(薄力粉)であんこを包み、それを銅板の上で焼く。 このどっしりとした面構え。改めて見ると、思わず正座したくなる。 形は丸型で、つなぎに卵白を使った半透明の小麦の皮は膜の

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    maxa55 2018/09/14
  • 「箱根元祖」皮とあんこ - 週刊あんこ

    饅頭(まんじゅう)の中でも温泉まんじゅうは格別である。 たまに行く箱根で、気が向いたときにお土産に買うのが「元祖温泉まんじゅう」。 数多い箱根温泉まんじゅうの中でも、ここは外せない。 それが箱根湯駅から目と鼻の先の「丸嶋(まるしま)店」。饅頭専門店というのがくすぐられる。暖簾と看板、店構えがそう派手ではないのが好み。 創業が明治30年代(1900年前後)で、箱根の温泉まんじゅうの中でも一番歴史が古い。当初は和菓子屋だったが、途中から饅頭一に絞ったようだ。現在3代目。元祖と名乗れる資格があるのはここだけらしい。 10年ほど前のこと。試させてもらうと、実に美味かった。 今回もふらりと立ち寄った。 白と茶の2種類あり、それが5個ずつ入った10個入り(一箱 税込み950円)をゲットし、家に持ち帰ってから賞味した。 形は小ぶりな俵型で、小麦粉の皮が白と茶色の2種類。 表面に「箱根 丸嶋」の焼

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    maxa55 2018/09/05
  • 古都の手巻き「豆大福」 - 週刊あんこ

    古都にはいい菓子屋さんが多い。 京都を筆頭に奈良、金沢、博多、仙台・・・ときて、ハタと思い至った。 いざ鎌倉、である。 その一つが鶴岡八幡宮の近くに暖簾を下げる、「旭日屋店」だと思う。 ここの豆大福の形が面白い。手巻き豆大福で、京都「出町ふたば」、東京「群林堂」、「瑞穂」など名店の定番の形とは趣を異にする。 つぶしあんを赤えんどう豆がゴロゴロ入ったのしでくるっと巻いたもの。それがこれ。あれっ、丸くない。 なので、豆大福の名店よりの存在感が強い。が分厚い。 1個162円(税込み)。 埼玉・熊谷「ばらや」や東京・祖師谷大蔵「香風」などにも同じ手巻き豆大福がある。 北海道旭川「七福」のねじり大福ほどの珍しさはないが、それなりにユニークな豆大福だと思う。 口に入れると、まずのしっかりしたコシと柔らかな伸びがググと来る。 特徴的なのは赤えんどう豆の存在感。群林堂とまでは行かないが、ゴロゴ

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    maxa55 2018/08/31
  • 官庁御用達「栗饅頭」さま - 週刊あんこ

    栗饅頭(くりまんじゅう)は正直、苦手だった。 どこにでもあり、その感に大差はないと思っていた。 あんこ好きとしては番外に位置する和菓子。 だが、出版社の敏腕編集者が「虎ノ門岡埜栄泉(とらのもんおかのえいせん)」の栗饅頭をべたら、「めっちゃ美味かった」とメールを送ってよこした。 ふーん。あの左党がねえ、と思い直した。女房が「あそこは豆大福が有名だけど、栗饅頭の方が美味いわよ。昔べたことあるでしょ?」と冷ややかに言った。遠い記憶。 で、虎ノ門に行ったときに、立ち寄った。だが、あいにく午後5時を過ぎていたので、店は閉まっていた。残念。 で、思い出したのがもう一軒の名店「和菓子 丸万(まるまん)」だった。 知る人ぞ知る「霞が関官公庁御用達」の和菓子屋さん。 ここの栗饅頭も評価が高い。午後8時まで開いていたので、こっちをゲットした。 小ぶりだが、見事な栗饅頭で、卵黄のテカりと栗色の皮に見入って

    官庁御用達「栗饅頭」さま - 週刊あんこ
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    maxa55 2018/08/24