今回発生した東日本大震災後に対してエネルギー市場は、かなり意外な反応をした。仔細に見てみると、ここ10年くらいの世界的エネルギー事情の変化を象徴するような反応だった。 今から3年9カ月前の2007年7月、中越沖地震で東京電力の柏崎刈羽原発が7基全部停止したとき、代替の火力発電所用燃料として東京電力が血眼になって液化天然ガス(LNG)の買付に乗り出した。 当時、同社に調達を依頼されたある大手総合商社は、スペインのイベルドローラやユニオン・フェノサ(電力会社)、ガス・ド・フランス、BG(旧ブリティッシュ・ガス)の米国拠点といった大口ユーザーや、アルジェリアのソナトラック(国営炭化水素公社)等のサプライヤーに軒並み打診し、玉をかき集めた。その結果、日本向けLNGのスポット価格が(百万BTU当り)10ドルから一挙に20ドル超に暴騰した。ガスの液化設備に莫大な投資を必要とするLNGは、20年程度の長