この春、歴史ファン注目の新シリーズの刊行が始まる。メソポタミア・エジプトから、ペルシア、ギリシアを経てローマ帝国まで、4000年の文明の歴史を、一人の歴史家の視点で描きつくす「地中海世界の歴史〈全8巻〉」だ。著者は東京大学名誉教授の本村凌二氏。講談社選書メチエの創刊30周年を記念する特別企画で、テーマ、規模ともかつてない試みとなる。いったいどんなシリーズなのか――。 〈四大文明〉はもう古い 古代文明といえば、まずメソポタミア文明とエジプト文明。そしてヨーロッパの源流とされるギリシア、ローマ…。しかしそれらさまざまな文明が、いったいどうつながっているのか、説明できるだろうか。 高校時代の世界史で、メソポタミアとエジプトにインダス文明、黄河文明を加えた「四大文明」のあと、おもむろにギリシア・ローマ文化のやけに詳しい授業になり、面食らった人もいるだろう。 ――あんなに栄えたメソポタミア文明は、ど