【封仙娘娘追宝録 10.天を決する大団円(上)】 ろくごまるに/ひさいちよしき 富士見ファンタジア文庫 Amazon bk1 この【封仙娘娘追宝録】という物語は、はじまった当初から普通の物語とは一線を画した要素があった。 物語の帰着点が予想も出来ない、というところがそれだ。 凄くシンプルに捉えたなら、人間界に散らばった宝貝を和穂が全部集めることに成功し、仙界に戻って龍華師匠と再会する、というのがそれに当たるのだろうけれど、実のところ単純にすべての宝貝の回収に成功したところで、既に宝貝が散逸した時点で人間界の変質は致命的な域に達しており、それはもはや五仙と呼ばれる仙人の頂点に立つものたちですら修復不可能な状態であることは、和穂が人間界に派遣される際の神農と仙主の説明で明らかにされている。 人間界は、もうとっくの昔に死んでしまっていて、全く別の何かに成り果ててしまっているのだ。そこに、和穂が宝