夕食の時間数分前になると宿泊客はぞろぞろと食堂へと集まりだす。 テーブル毎に揃った所から食事を順次提供していく。 神戸屋では一般の宿泊客はコース料理になっている。 ホールを担当しているお腹の大きいちかさんが小窓を開けて外から人数を告げる。 予め用意していた皿枠で重ねられたオードブルを人数分小窓から外へと出していく。 オードブルはすぐに食べ終わり続々と下げられてくる。 各テーブルで全て下げ終えると、そのタイミングでチカさんは人数をなかへ伝える。 卓はスープと人数分の食器を準備して、伝えられた数だけ皿を横に置いていく。何人入ったか忘れないようにするためだ。 スープを注ぐ卓を見て康之さんが 「スープ注ぐ時は一旦すくったらお玉の底をスープにつけんねん。ほんなら垂れへんから皿汚さんで注げるから」 卓は感動した。 「すごっ、こんな裏技あるんですね」 テンションの上がった卓が声を上げる。 「料理の世界で