亡くなった南野信吾さんの遺影を見つめる3人の娘たち=東京都内の自宅で2021年6月6日午後4時5分、三上健太郎撮影 「娘たちには夫が亡くなった事実を、何と話したらよいか分からず濁していましたが、成長した長女、次女はインターネットで検索し、夫の亡くなった理由を知ってしまいました」。これは、通り魔殺人事件の裁判で読み上げられた遺族の陳述書だ。長女たちは、しばらく死の真相を知らずに育った。記者(私)は事件を取材し、裁判も担当した。事件から9年、長女(15)は小学1年生から高校生になった。遺族としての心の痛みを抱え、不登校も経験し、人生と向き合う。家族の思いや長女の今を伝えたい。【三上健太郎/デジタル報道センター】 「大きくなったね」「お父さんに似てきたね」 6月10日午後。東京都新宿区のライブハウス「新宿ロフト」に、髪を後ろで一つに束ね、白いブラウスとチェックのスカートの制服を着た長女の姿があっ