分散分析について 1.分散分析の前提について 分散分析(analysis of variance; ANOVA)は,複数の群間の平均値を比較するための手法です.実験研究で特に多く扱われます.2群間の平均値を比較するのであれば,t検定というものがあります.分散分析は,この分析をさらに複数群間(そして複数要因間)の比較に拡張したものだというイメージを持つと分かりやすいと思います.実際,2群間の平均値差を分散分析にかけると,t検定とまったく同じ結果を生みます. 「群間の比較」というと,「群の違い」→「従属変数の違い」といった説明・因果のイメージを抱きやすいですが,これは正しくありません.例えば調査研究で,成績が高い人と低い人に分けて動機づけ得点の比較をする場合を考えてみましょう.このとき,群間に差があると,「成績が高い人ほど動機づけが高い」という説明をしがちです.この説明は間違っていないので