今回の事件は政権の危機管理能力を問う最初の機会となったが、事態は日本政府の手が及ばないところで激しく動いた。 ◇ 電話口で英国のキャメロン首相の声は、切迫感に満ちていた。 「アルジェリア軍はすぐに攻撃を開始するかもしれない。安倍首相からも説得してほしい」「米英で『暗視ゴーグルや無人偵察機など機材の支援は惜しまない』と言っているんだが、アルジェリアは受け入れない」 東南アジア歴訪中の安倍は、バンコク市内のホテルで日英電話首脳会談に臨んだ。現地時間の17日午後4時(日本時間17日午後6時)。アルジェリアで武装勢力による人質事件が発生して丸1日経過していた。 電話会談でのキャメロンの口調に、予想以上に事態が悪化していると知った安倍は、「私からも人命優先をアルジェリアに求める」と約束した。 キャメロンの危惧は的中した。会談から数時間後、アルジェリア軍は、関係国への通告なしで武装勢力への攻撃に踏みき