人手不足の日本に、海外から出稼ぎ労働者が来るようになって30年。日本で育った子ども世代から、移民研究者が誕生している。南米ペルーから22年前、家族の呼び寄せで来日した日系4世の兄妹だ。「当事者にこそ見えるものがあるはず」と周囲も期待を寄せる。 オチャンテ兄妹は、ペルーの首都リマで生まれた。母方の曽祖父が富山県出身。1990年に3世の母親が、翌年にペルー人の父親が来日。三重県伊賀市の自動車部品下請け工場で働き、定住を決めた。96年に呼び寄せられたとき、兄は16歳、妹は15歳だった。 妹のロサさん(36)は今春、奈良学園大学で助教から専任講師になり、初めてゼミを持たされた。 地元中学から夜間定時制高校に進み、昼間はカメラなどに使う蛇腹の工場でアルバイト。大きな壁となったのがゼロから始めた日本語だった。「熱心な先生が授業前に毎日30分教えてくれて助かった」。給料は全額貯金して進学に備えた。 京都